今年の仲秋の名月は9月21日です | バイカルアザラシのnicoチャンネル

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 これは去年の仲秋の名月です。地球に火星大の小惑星が衝突し、今の地球の月が生まれました。月は準惑星の冥王星よりも大きく、私たちの地球は二重惑星のなり損ないということができます。月は大きく見えたり、小さく見えたりします。これは月が地球から35万キロから40万キロという楕円軌道を描いているからです。5万キロも誤差があるので大きく見える月をスーパームーンと呼び、小さく見える月をストロベリームーンと呼びます。

 

 こうして望遠鏡で見ていると月の重量感が直接、目の中に入ってきます。こちらまで落ちてこないかというような迫力です。ちなみに月は年に3cmずつ地球から遠ざかっています。月と地球の距離は37万キロ。ということは、40数億年前は月と地球の距離はゼロ。つまり、衝突していたことが計算上、分かります。

 

 今年の仲秋の名月ですが、八年ぶりに満月になります。仲秋の名月の日に十五夜になるとは限りません。これは私たちが太陽暦を使っているので、どうしてもずれが起こります。でも、今年は21日の午前9時頃に月齢15.0になるので、文句なしに満月。ちなみにこの日の宵に昇ってくる月は、月齢15を過ぎているので左側が少し欠けています。といっても、肉眼ではほとんどまん丸。ステラナビゲーターで21日午前零時の南天を描いてみました。ほぼ南にまん丸のお月様が昇っていますね。

 

 仲秋の名月を読んだ俳句はいっぱいありますが、有名なのは松尾芭蕉のこの一句でしょう。

 

 名月や 池をめぐりて 夜もすがら

 

 芭蕉は一晩中池に映る名月見ていたのでしょう。芭蕉は江戸時代の初め元禄時代に生きた人です。もちろん街灯はありません。夜になれば満天の星空になります。月の出には池の北西側から、月が高く昇れば池の北から、そして、月が沈む頃には池の北東側から。池に映る虚像の月とお空にある名月を夜もすがら愛でていたのでしょう。

 

 芭蕉が生きた時代は太陽活動が極小期を迎えます。天文学ではマウンダーミニマムと呼んでいます。各地で冷害が起こり飢饉となりました。「野ざらし紀行」には彼が江戸から生まれ故郷の上野に帰る様子が描かれています。何が野ざらしになっているのでしょう。飢えで亡くなった遺体が野ざらしになっているのです。彼の俳句が侘び寂びの境地だと言われるのは、太陽活動が低調でお天道様が元気よく照ってくれないため、社会が暗黒になっていることと切り離しては語れません。

 

 芭蕉が見た名月は、私たちが見てる明るい満月とは少し違った物だっでしょう。太陽の弱々しい光を反射して、黄色か赤みがかっていたと想像されます。「月がとっても青い」なんて表現は太陽活動が活発で日の光を力強く月面が反射しているからです。

 

 今年の仲秋の名月は満月と重なりました。名月の右下には木星と土星が先に西の空に沈もうとしています。団子とススキを備えればこれまた風情もひとしおかも知れません。