すばる望遠鏡を改造して超広視野主焦点カメラ(HSC ハイパー・シュプリーム・カム)が撮影した珍しいデータをゲットしました。26億光年先の筋状の銀河集団が衝突しようとしています。銀河と銀河の相対的な距離はかなり近いため、銀河同士は衝突することがあります。私たちの天の川銀河もその2倍あるアンドロメダ銀河と50億年後に衝突します。26万光年の距離を毎秒100kmの速さで近づいているのでこの予想は間違いありません。
そのため銀河は群れることがあります。天の川銀河もアンドロメダ銀河も乙女座銀河団の一員です。そんなの聞いてないと言われても、断固反対だと言われても、そうなっているので仕方ないですね。ところで、上の画像ですが、中央上の左寄りの銀河団とその右下に続く銀河団が接近している様子を映し出しています。まもなくと言っても数百億年先ですが、一つの銀河団にまとまっていくでしょう。銀河は宇宙に均一に存在するのではなく、筋状にお洗濯の泡のように分布しています。
宇宙は今、加速的に膨張していますが、銀河同士は衝突を繰り返し、星の形成能力をなくしていきます。そして、宇宙膨張とともに銀河団同士は離ればなれになり、私たちの視界から見えなくなります。今、宇宙をこのように美しく観測できるのはいつまでも続くわけではありません。もっとも50億年後には地球の軌道まで太陽が肥大化するので人類は太陽系を脱出しない限りその光景さえ見ることはできないでしょう。
宇宙が膨張しきった最後には原子も電子もエネルギーを失い凍りきった姿になります。例えば光は光子という粒でできていて直進します。これはエネルギーがあるから1秒間に30万キロの距離を移動しているわけです。それではどんな力が光子を30万キロの速さで動かしているのでしょう。宇宙の膨張しきった時間と空間にはもはやエネルギーが無の状態になると言うことです。ちょっといんちきな表現ですがすべての活動が止まることを意味します。宇宙の温度は絶対零度の-237℃よりも4℃高くなっています。これはエネルギーが宇宙に残っているからです。これが絶対零度になるとき何が起こるのか。エネルギーが無になった時間と空間がどんなものなのか、想像することもできません。宇宙のほとんどは暗黒エネルギーで閉められ、暗黒物質はわずか、そして私たちの世界を構成する物質はわずか5%なのです。私たちはわずか5%の世界を見て聞いて触れられる世界でしか物事を考えることはできないのです。私たちの体自体つまり分子さらに原子も素粒子からできています。その素粒子もとてつもないエネルギーが掛かっていて存在しています。もしそのエネルギーがなくなれば素粒子も消えると考えられています。すべての現象がなくなる、そのなくなることさえ存在しなくなる。何もないことさえない。時間も空間のなくなるのが宇宙の終わりです。
この画像のデータは10万個の天体の距離・位置・光の色などが関連付けられており、一般公開されているので多くの発見があることでしょう。宇宙が生まれて138億年経ちましたが、宇宙の最後には何が起こるのか、一枚の画像がその謎を解き明かすヒントをくれるかも知れません。