今から2000年前、シリウスは赤かった! | バイカルアザラシのnicoチャンネル

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 今夜も南の空には青白くシリウスが輝いています。この星は二重星で左側に小さな星がくっついているように見えます。これが大きな主星がシリウスAで右側にくっついているのがシリウスBです。口径12cm屈折望遠鏡でサラブレッドが撮影。

 

 この星、2000年前には赤く輝いていたという記録がたくさんあります。詩人キケロや科学者のプトレマイオスが記録しているので本当のことなのでしょう。中国の書物にも「天狼星が赤い血を流す。」とあります。天狼星はシリウスのことです。

 

 二重星だからガスを吹き出して赤くしたとか様々な説がありますが、これを解明したのがアマチュア天文家の桜井さんです。桜井さんは1996年に射手座に新星を発見しました。白色矮星がファイナルフレアーバーストを起こした星です。桜井天体(Sakurai's Object)となづけられました。

 

 太陽のような星は中心で核融合を起こし、水素をヘリウムに変えて輝いています。中心部にヘリウムが溜まると核融合が起こらなくなり、星は収縮して白色矮星になります。普通はそれで終わりなのですが、あるときヘリウムに核融合が起こり赤色巨星として最後の爆発を起こします。水戸市に住むアマチュア天文家の桜井さんはその瞬間を18cmの屈折望遠鏡で撮影しました。

 

 これをシリウスの伴星に当てはめると、2000年前にシリウスが赤く輝いていたのが説明できます。つまり、2000年前にシリウスBがフィナルフレアーバーストを起こし、赤く輝いたというのです。

 

 ファイナルフレアーバーストは、白色矮星が赤色巨星になる爆発で、太陽の4倍以上ある巨星が自らの重力を支えきれなくなり超新星爆発を起こす現象とはメカニズムが異なります。

 

 桜井さんの発見で天文学の研究は一気に進みました。このように星空の探求者をスターゲイザー(star gazer)と呼んでいます。

 

 ちなみにシリウスの右上に赤く輝いているのがベテルギウスという年老いた巨星です。このベテルギウス、100万年以内に超新星爆発を起こします。地球から640光年しか離れていないので、超新星爆発を起こしたら満月大に輝きます。もう爆発しているかも知れません。今日爆発してもその光が地球に到着するのは640年後のこと。このベテルギウスですが、去年は暗くなってスターゲイザーを驚かせましたが、どうもガスを放出して暗くなったようです。

 

 今夜も南の空から目が離せません。どこを見ても満天の星です。乾燥注意報が出た夜空は宝石箱です。