明けの明星 金星ではヘビーローテーションが起こっている! | バイカルアザラシのnicoチャンネル

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 サイコロジストの日常と非日常を季節の移ろいを交えて描いています。バイカルアザラシのnicoちゃんの独り言です。聞き流してください。

 夜明け前の東の空にはひときわ明るい星が昇ってきます。金星と水星です。東の空にミツバチが飛んでいるように輝いています。右下にはスピカも。夜明け前の空はもう春の星座なのです。薄明になっても輝きは失いません。こんなに明るいのは地球から一番近い惑星だからです。

 

 今朝、撮れたての金星。この金星、地上の温度は460℃、気圧は地球の92倍、高圧高温の世界です。上空では秒速100mの風が吹いていて、4日で金星上空を一周します。ヘビーローテーションです。こんなに大気が激しく入れ替わるのは熱潮汐波、つまり太陽からの熱で気圧の低い部分ができ、自転とともにそれが移動するために起こる潮汐波が原因です。原因は長い間不明でしたが、日本の探査機あかつきでメカニズムが発見されました。自転の60倍の速さで大気が循環するので、この現象をスーパーローテーションと呼んでいます。

 

 なぜ金星がこんなに高温になってしまったのでしょうか。太陽からの距離からいえば、もう少し温暖な惑星になった可能性もありました。金星の組成は地球のよく似ています。しかし、大気中の二酸化炭素が多かったこと、温室効果によって灼熱の惑星になっていまいました。

 

 地球もかっては金星のように二酸化炭素が多くありました。しかし、地球には水があったため二酸化炭素が水に溶け炭酸塩となり、さらにカルサイトのような岩石に変化したため二酸化炭素が減少し始めます。これに対し金星は水がなかったか、あったとしても早い時期に太陽熱で失われたため、二酸化炭素の濃度は変わりませんでした。

 

 美しい金星、12cmの瞳で見れば、本当に金色に輝いています。しかし、この美しい金色は硫酸の雲やスーパーローテーションの大気の姿です。そして、これを起こしたのは、二酸化炭素が引き起こした温室効果による温暖化です。

 

 かって地球はもっと酸素が豊富で50cmのトンボが繁栄するような環境でした。ここ100年ほどの人間活動で二酸化炭素濃度は高くなり、温暖化が進んでいます。私たちも基礎体温より1℃上がれば、微熱で体に元気がなくなるように、地球にも同じような症状が起こります。金星のあの金色の美しさは、私たち人類に地球温暖化への警鐘を鳴らしているのかも知れません。