春谷寺のエゾヒカンザクラが咲きました。樹齢400年、高さ12m、幹周りは3m以上あります。一時は枯れる寸前になりましたが、樹木医の手当でみごとよみがえりました。
その子孫達がまわりで花をつけるようになって境内は華やかです。
若い木は濃い色の花びらをつけます。樹齢400年となると色も薄くて花も数も減ります。桜の命は百年ほど、しかし、樹齢400年と言えば希な存在なのでしょう。幹周りは3m以上あっても中は空洞。むしろ今でも花をつける方が奇跡なのかも知れません。
梅は一つの花芽から一つの花が咲きます。でも、桜はこの通りいくつもの花をつけています。奈良時代は花と言えば梅、花と言えば桜になったのは平安時代のことでした。ソメヨシノのように豪華に咲くわけではありませんが、ちょっと遠慮気味にひっそりと咲くヒカンザクラは、桜の季節の兆しをいち早く教えてくれているのでしょう。
紀伊半島では三月の下旬から桜の季節が始まり、紀伊山地の大峰山の五月上旬まで約二ヶ月の間、桜を楽しむことができます。そしてやがてツツジやサツキやシャクナゲと花また花の季節は止むことなく続いていきます。