雨なので春の野原に出てみた。水仙が咲いている。昔、ギリシアにナルシスという少年がいた。彼は湖に映った自分の姿を見た。あまりの美しさに少年は湖に入って帰ってこなかった。ナルシストという言葉はこの神話から生まれた。そんな話が美しいと思うほど、この花は確かにきれい。
スミレが咲いている。雨にたたかれて今日は下を向いている。太陽が出てきたら上を向くかも。でも今日はひたすら下を向いて我慢している。
ラムズイヤーがここぞとばかり雨水をまんまるに丸めてもふもふの毛に蓄えている。乾燥帯で生き抜くには雨をキャッチすることが大切。ここぞとばかり雨を取り込もうと必死。そんなに頑張らなくてもここは結構雨が降るところなのに。子羊の耳と名付けられたふわふわの繊毛が本能を発揮して雨水をひときわ美しくさせた。
なんだか知らないけど知らない花がきれい。薄紅色の花びらに細かい毛がついていて雨水が宝石みたいに結晶している。よく見ると小さな水滴の向こうに大きな世界を逆さに写してる。どこから種が飛んできたのだろう。