冬の夜空を焦がすどんど火 | バイカルアザラシのnicoチャンネル

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 サイコロジストの日常と非日常を季節の移ろいを交えて描いています。バイカルアザラシのnicoちゃんの独り言です。聞き流してください。

 櫛田川流域では正月の第二日曜日にどんど火が焚かれます。川上の地区で火の手が上がると川面にも火の影が映りました。

 

 最初に小さな左義長に火がつけられます。といっても高さは5m以上あります。火の点火は小学生と決められています。もともと中学生達が山や河原で榾を集めて左義長を組みます。完成した左義長は他の地区の青年さん達が壊しに来ます。中学生は12月の初旬から一月の初旬の一ヶ月間、これを守らなければなりません。もし、他の地区の人に壊されてもすべては中学生の責任です。壊された左義長は、また、はじめから修復しなければなりません。無事、当日を迎えられた一人前の青年さんとして認められます。そのために中学生は河原に穴を掘ってトタンを屋根にして寝ずの番をします。中で火を焚くこともあり、中学生達の顔は煤で真っ黒になります。今ではそんなワイルドなことをすれば、警察沙汰ですが半世紀前は何でもありの世界でした。

 

 乾いた笹は爆発的に燃えます。大きな左義長は高さが8m。頂点にある幣が一気に燃え尽きれば今年は豊作です。

 

 左義長は燃えに燃えて、漆黒の闇の中で金色の炎に包まれました。

 

 炎の勢いが弱まってくると人々は餅を焼きます。焼け石で焼いたお餅は砂糖をつけたほど甘くなります。遠赤外線がお餅を甘くするのでしょうか。ここで焼いたお餅を食べると病気をしないとか。

 

 やがて左義長に立てられた竹の筒が爆発を起こします。ヒューヒューと香肌峡の渓谷に爆竹を鳴らしたような音をこだまします。川上にある左義長は熱い気流に流されてゆがんで映ります。

 

 夜が明ければ、正月も終わり、本格的な一年が始まります。ここはまだ厳冬のまっただ中。なのに蝋梅が咲き始め、やがて梅が真っ白な花をつけるでしょう。寒さに目覚めた花たちがどんどん咲き始めます。冬に充電したエネルギーを一気に爆発させるのももうすぐです。

 

 

 今朝のどんど火を2分にまとめました。見てね!