イチョウとケヤキが紅葉し始めました。山の奥深い旧家の庭は芝生の上に落ち葉でいっぱい。
秋晴れの真っ青な空には、黄色に色づいたイチョウの葉っぱ、地面には大樹の陰が落ちて、緑色だった芝生の庭は赤や黄色の落ち葉で覆われています。
家の中に入れば、外の景色はゆがみます。ガラスの窓がビードロガラスで覆われていて、ガラスの厚さが均一でないために、外の景色が屈折しているのです。今はこんなガラスは売られていません。すべてが職人の手による手作りなのでしょう。
台所には羽釜があります。薪でご飯を炊いたら美味しいでしょう。杉の葉の香り、真っ赤な炎、お米がぐつぐつ煮える甘い香り、時間はかかるけどこれほど豊かな時間はないでしょう。
二階に続く階段には引き出しがついています。格子戸から入ってくる日差しは何か優しい。どこを見ても木のぬくもりが伝わってきます。
玄関の前には秋の花が植えてあります。あたりはどこまでも静か。時折、北から風が吹いてきます。そうすると山々の広葉樹はいっそう黄色く赤く染まります。奥山の静謐に囲まれた旧家です。