洞川温泉でのんびり | バイカルアザラシのnicoチャンネル

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 サイコロジストの日常と非日常を季節の移ろいを交えて描いています。バイカルアザラシのnicoちゃんの独り言です。聞き流してください。

 奈良県の洞川温泉は、修験道の聖地山上が岳の麓にあります。竜泉寺は夏から秋への趣です。境内にはキンモクセイの花が咲き始めていて、ほのかな香りが漂っています。ここには美しい弥勒菩薩がいらっしゃいます。

 

 池の方から読経の声がしています。行者様達が水行をしています。池の水は、竜の口からわき出る清水です。雨水が地中深くの鍾乳洞を通ってわき出る清水は夏でも冷たい。5月3日、山上ヶ岳の戸開式に始まり、9月23日の戸閉式で行者達の修行の季節は終わります。修行の季節が終われば、本格的な秋です。

 

 「ようおまいり」参詣者達の合い言葉は、この言葉。遠いところからよくお参りに来られました。参詣者をねぎらう言葉なのでしょうか。独特の響きがいいと思いました。洞川温泉は他の温泉街といっぷう変わった趣があります。それは役行者が勇払岩から蔵王権現様を祈りだした修験道の聖地だからでしょうか。

 

 お参りが終わって、温泉街を歩いていると、こんな風景が入ってきました。鮎にイワナにアマゴでしょうか。今は子持ち鮎の季節。何とも香ばしい香りにひかれてそのままお店に。

 

 これが子持ち鮎。半分ほどは卵です。それもふわふわ。時間を掛けて焼いてあるのか、頭からしっぽまでぱりぱりで食べられます。こんな美味しい物があったのかと思うほどの美味しさです。

 

 子持ち鮎を一つ注文しただけなのに、魚の酢漬けをご主人が出してきました。サービスだそうです。これだけでかなりのお値打ち。これも絶品です。お酢でお魚のうま味が見事に出ています。

 

 これはおいし美味しいわと黙々と食べていると、今度はほぐし身の煮付けが出てきました。こんなにサービスして大丈夫なのかと。ご飯も欲しくなって、おばあちゃんの鯖寿司を注文。鯖寿司はおにぎりのように大きくてボリュームたっぷりです。鯖の具もたっぷり。三ついただいたら満腹になりました。

 

 ゆったり食事を終えたら、もう食事時なのか、お客がいっぱいになりました。お目当ては子持ち鮎です。この季節しか味わえない食材です。

 

 温泉街を歩くと薬屋さんが多いです。陀羅尼助という漢方薬を売っています。洞川温泉はこうして千年一日のように緩やかな時間が流れているのでしょう。紀伊半島の最奥の秘境の温泉、泉質も最高です。純銀イオンの温泉は旅の疲れを癒します。ここでわき出るごろごろ水は日本の名水百選に指定されています。これがまた美味しいです。さらに名水で造られた豆腐は、一般に売られている豆腐のお味とは大違い。なぜ美味しいのか、水が美味しいとこんなに豆腐を美味しくさせるのか。不思議になってきます。

 

 洞川は、弥勒菩薩が優しく迎えてくれる聖地でした。少し歩けば山の幸に海の幸、名水から生まれる様々な食材、温泉は紀伊半島の最高峰の一つでしょう。ここに来れば身も心も洗われると思いました。