和歌山県の本宮に湯峰温泉があります。薬師観音を祭る東光寺、その隣には公衆浴場があります。
温泉街の谷川を流れの中につぼ湯はありました。谷からは90℃以上の熱泉が湧いています。
入り口はこんな感じです。何ともワイルドな造りです。
扉を開けてみると中もワイルド。床は天然の床暖房です。冬はいいでしょうが、夏はこの床暖房は要りません。といっても、この床暖房、天然なので切ることはできません。
谷の岩を掘っただけの湯船です。底からは熱いお湯が沸き出しています。そのままだと熱くなってくるので、水道で足し水をします。
湯船に入れば天国です。温泉の水面がゆらゆら揺れて時間が止まりそう。この湯船にはこんな話が伝わっています。
小栗判官は、関東一の美しい照手姫と密かに結婚した。それを知った父は、小栗に毒を飲ませた。瀕死の判官はあの世をさまよい閻魔大王の思し召しで蘇生した。瀕死の小栗判官は大八車に乗せられて相模からこの湯峰温泉まで運ばれた。判官はこのつぼ湯で49日間湯治をすると、見事元の姿に戻った。判官は車を引いてきたのが照手姫だと気づき、幸せに暮らした。
確かにこの湯船に浸っていると体に力がみなぎってきます。それは泉質が絶妙だからなのか、岩からの言葉にできないパワーのようなものが体に浸透してくるからなのか、よく分かりません。だいたい世界遺産の温泉なんて、世界にそんなにないでしょう。なぜ判官がここでよみがえったのか、何となく分かり気がします。薬師如来が祭られているのも納得です。
つぼ湯の横には老舗旅館があります。皇室もお忍びで湯治に来られるとか。そんなに霊験あらたかな温泉がこんな鄙びたところにあるのは不思議です。
谷川には湯筒があり、温泉卵を作ることができます。9分くらいでゆであがります。こんな所に90℃のお湯が出るなんて考えられません。すべては大地の恵みですね。