ある日、紀州のお姫様が小さな川をお通りになられました。時は満月の夜で、青い光が煌々と照っています。
あまりの美しさに、お姫様は月を取ってくれと仰せになりました。
家来は機転を利かせて、笠に川の水をくんで満月を映して差し上げました。すると、お姫様はお喜びになりました。このお話から、ここの橋を笠汲み橋というようになりました。
ここまでは、笠汲み橋の伝説です。そのあと、お姫様は猫目からロバさんに変わりました。こうなると話は急展開します。ロバさんはサラブレッドに、本物の月を取ってこいと言いました。サラブレッドは高いはしごに登って月を取ろうとするのですが、届きません。月はますます高く昇って、ここまで届くかというばかりに、西の空に沈んでいきました。なんともお寒い話です。