
この夏、あまりにも雨が少ないため気象観測装置をあげました。風速・風向・気温・湿度・気圧・雨量を測定し、クラウドにアップロードできるという物です。米作りには雨が何日に何時頃降ったのか、川の水量を推測するためにも必要なデータをとってくれます。
このようなデータは日本国内千数箇所あり、データを公開しています。もちろん気象庁も21km間隔でアメダスを設置し、気象データをとっています。普通はこのアメダスのデータ利用すればいいのですが、いざ設置してみるとアメダスから2kmも離れていないのに雨量が数十ミリ違っていたことがありました。雨の降り方は意外に局地的な物なのでしょう。
さて、台風15号が三重県では松阪市と伊勢市を通過していきました。台風の中心を通っていったのでウエザーステーションにはどのようなデータを残していったのでしょう。

まず、気圧から見ていきましょう。気圧は台風が近づくとともに低くなっていきました。中心が通った午前10時には1003hPsで、真東にある伊勢市に入ります。
中心が通ると雨が止んで空が開けてきました。伊勢市を通過した頃には青空が出てきます。そうなると気温がどんどん上昇していきました。それに伴い湿度も下がっていきます。
自分の予想では高知県宿毛市に上陸した台風はすぐに熱帯低気圧になると予想していました。ところが台風のまま衰える気配がありません。鹿児島県の直下で発生した台風なので海水温が高いとは思っていましたが、上陸しても衰えるどころか最盛期には992hPsに発達して東海上に抜けました。静岡県で発達した台風は竜巻や突風を起こし、大変な被害をもたらしました。

松阪市の気圧が最小値になった午前10時には風が止みました。やはり台風の目に入ったからなのでしょう。風向きは台風が接近する前は南東風でしたが、松阪市を通過すると北西風の風となり、急に涼しくなってきました。それがはっきり記録されています。
そして、雨量ですが、午前10時までは雨が降り続いていますが、東側に雨雲を持った台風は中心が去るとともに雨が止みました。午前四時頃には紀伊半島に線状降水帯が発生し、41mmの雨量を記録しています。このころ近くのアメダスは35mm程度で松阪市が5mmほど多く降っていたことが分かります。
自分はこのような私設のデータを天気予報に生かせないか考えています。風の吹き方や雨の降り方は私たちが考えていた以上に局地的であることが、このデータからは分かります。
例えば、突風が吹くのは局地的なことでしょう。支流の渓谷に怒濤のような豪雨となる可能性もあるでしょう。そうしたとき、鉄砲水を予想したり土石流を予想することができる可能性があります。
松阪市は東西に長い街で西は奈良県境の紀伊山地、中間地域は伊勢三山が聳える夏は暑く冬は寒い地域です。東は伊勢湾に面しており、全く気候が異なります。アメダスがあるのは中山間地域で夏は日本の最高気温をたたき出し有名になりました。実は松阪市の人口は伊勢湾沿いに集中しており、ここのアメダスは松阪市の気温を代表しているとは思えません。
このような私設の気象観測計は必ずしも正確ではありません。2~3万円程度の物が一般には出回っています。気象庁が設置しているアメダスとは精度が段違いです。
しかし、このような私設の気象データは、局地的な土砂災害を予測できるポテンシャルを持っているのではないでしょうか。このビッグデータを利用すれば、その場で起こりつつある災害を予測できるのではないでしょうか。
地球温暖化により日本列島の直下でも台風が発生する気候になりつつある日本でこのようなデータの活用はあってもいいと思います。例え誤差があったとしても多くの私設観測所のデータと照合すれば、誤差は小さくなります。局地的な土砂災害や竜巻、鉄砲水、突風などそこで異変が分かれば、行政も早く対応できます。
自然はやはり数字で動いているのだと思いました。なので、その数字を集めればより的確な備えや判断・行動ができるのではないでしょうか。このウエザーステーションが台風は理論通りに動いているのだとつくづく思いました。
松阪市は梅雨明けからほとんど雨が降りませんでした。この台風での被害はなく恵みの雨となりました。田畑は乾燥しトラクターも入れないほど土壌が固まっていました。これで来週から耕すことができます。
こんなことを書くと静岡県の方々に怒られますが、台風がさらに発達した牧之原では突風で大変な被害となりました。わずか10hPs発達しただけで、恵みが災いに変わるとは予想できませんでした。もし、松阪市で発達していたら同じようなことが起こったと思います。
このようなデータをアップしてくれるウエザーステーションですが、秋から冬にはどのようなデータを提供してくれるのでしょうか。様々な気づきを教えてくれるのを期待しています。