前々回、そして前回お話しした「C象限にとどまり続けてしまう」状態や「B象限に行けずにD象限に移行してしまう」状態を回避するには、かなり気を使わないといけません。

 

 土台作りとして、まず「意見の交換」そのものに慣れさせ、「意見の衝突」を恐れないような雰囲気、もしくは「意見の衝突」が人間関係にまで影響を及ぼさないように切り替える能力を作り上げないといけません。

 

 ですから、普段のすごく小さなことから、選手同士で決める、という癖をつけるしかない。

 

 キャプテンや一部のメンバーだけで決めるのではなく、全員に問いかけるようなものにしないといけません。

 

 それこそ、みんなでお菓子パーティーをするときに、買ってくるお菓子をみんなで決める、というようなことからスタートするしかない。

 

 また、お弁当をあえて外注し、そのメニューも部員に決めさせ、さらにそのお弁当を全員で一緒に食べる場所を選手全員で決めさせる、というようなことです。

 

 食べ物は好き嫌いやアレルギーがあるので、いろいろな意見を取り入れる力がつきやすい

 

 このとき、中途半端にC象限から脱却を急ぐ顧問は、

 

「話し合って、全員納得させて、1つのお弁当に意見を統一しろ」

 

 などと言ってしまう(笑)。

 

 違うのです。

 

 みんなが満足できるようなお弁当を選んだり、いろんなメニューを選べるようなお店にしたり、ということを選手たちで決めることが大事なのです。

 

 そういう日常的なところから──「意見の衝突」があったとしてもたかが知れているものを積み重ねながら、徐々に、競技の特性に沿ったものを取り込んでいきます。

 

 例えばテニスであれば、あえて1コートで同時に3対3や4対4で遊びのゲームをさせる。

 

 複数人数が同時にコートに入ると、意外とダブルスのときよりも声かけが増えます。

 

 例えばバスケットボールであれば、エンドラインからボールをスローインするときに、フォーメーションを組むのですが、それを選手で話し合わせる。

 

 そういうのが紹介されている本から選ばせてもいいですね。

 

 サッカーなら、ゴール前のフリースローで、トリックプレイを考案させて練習したり、っていうのも、話し合いをする訓練になります。

 

 そこから、実際の戦術や技術的なことで話し合いができるような雰囲気にもっていくのです。

 

 大事なのは「意見の衝突」が起きそうなときに、中途半端に元に戻そうとするのでもなく、そのまま「衝突」のまま終わらせるのでもなく、ちゃんと落とし所を準備すること

 

 ここは、顧問・監督だけでなく、キャプテンの仕事になります。

 

 一度やってみる、という方法もありますし、他者の意見を聞くというのでも良い。

 

 キャプテンや顧問が、ちゃんと合理的な説明をした上で、責任を持ってどちらかの案を採用してもよいでしょう。

 

 この場合、うまくいかなかったときには、キャプテンや顧問が責任を負って、別の案を採用し直す、という「覚悟」が必要になります。

 

 しかも、その「選択」や「採用」に私情が絡んだり贔屓が目立ったり、逆に平等にすることだけを考えて効果の薄いものを選んだりすると、信用もなくなりますから難しい(笑)。

 

 なかなか解決しない問題も多くありますが、少なくとも、話し合いそのものがチームを活性化させているという実感がわくと、ただの「衝突」を繰り返すだけで終わるようなこともなくなっていきます。

 

 少なくとも中途半端に「意見がぶつからないように、どの意見も採用しない、後回しにする」ということはしないようにしましょう

 

 C象限にとどまる原因となるからです。

 

 間違ったら、すぐに切り替えてもう一度話し合いをし直し、修正を加えたり別の案を採用したりする。

 

 これも、話し合いを活性化させる要因となりますから。

 

【次回へ続く】