一方で、性急に、そして安直にC象限→B象限への移行を目指しすぎて、D象限に陥ってしまうときがあり、この場合は、ただ単に勝てないどころか、部員の退部やチーム崩壊につながる危機的状況です。

 

 特定のメンバーが「一石を投じる」とか「チームの雰囲気を変える」という大義名分のもと、何の「落とし所」も考えずに行動すると、こういうことが起こります。

 

 特に、チームで「意見の交換がない」ことの原因を「仲が良いから」だと端的に考える部活動顧問がやりがちなことです(笑)。

 

 さらに、一部の真面目に「チームを強くしたい」と思っているけれども協調性に欠ける選手が、

 

「自分はちゃんとチームのことを考えているのに」

 

 と、周りの理解力の低さをあげつらうだけになって、チーム内で孤立することもありえるのです。

 

 また途中加入したメンバーが「客観視できている」ことと「空気が読めていない」ことをはき違えて

 

「今のままだと、だめなこと、気づいてないの?」

 

 みたいな態度で、これまでの方針や戦術に異議を唱え始めると、衝突し合いながらも上を目指していたチームが、その基盤となる「目標」を見失ってしまうことがあり得るため、すごくめんどくさくなります。

 

 サッカーの日本代表で「サプライズ」で招集された選手の中にも、そんなやつがいましたね

 

 よくありがちなのは、ふがいない下級生を上級生がただただ叱る

 

 このとき「上級生だけに限ればA象限にいるが、下級生がC象限にとどまっている」という状態であれば効果はあります。

 

 上級生が下級生を「引き上げる」という状態になるからです。

 

 ただ……多くのチームは違う(笑)。

 

 よくあるのは、上級生が、普段はC象限もしくはそれどころかギリギリC象限とD象限の中間ぐらいの状態なのに、調子が良いときとか試合前になると急にA象限っぽく振る舞うというやつ。

 

 A象限「っぽく」してるだけで、下級生はそれを感じてとっていますからね。

 

 また、上級生と下級生との間での「D象限状態」が解消しないのを繰り返す──つまり、先輩と後輩の交流が乏しいことを伝統としているチームは、有能な選手を毎年スカウティングし、毎年のようにチームを作り直すような体制を維持しなければいけません

 

 そして、何度も言っているように、「意見を交換する」ことは「意見の衝突を生む」ことにもつながるのですが、「A象限に移行する」という最終目標を忘れてしまい、「衝突を生む」ことそのもので殻を破ったように勘違いしてしまうメンバーや顧問がいますので、これも注意です。

 

 一時的に仲が悪くなることを「覚悟」することと「仲良しこよし状態を壊さないとダメだ」と安直に考えることとは大きな違いがあるのですから。

 

 一旦D象限に入ってしまうと、そこからB象限に持っていくことさえ難しくなります。

 

 皆さんもそうでしょ?

 

 嫌いなやつの意見は聞きたくないからです(笑)

 

 ですから、一旦、C象限に戻りながら、またやり直しをしなければいけません。

 

 しかも、C象限に完全に戻ってしまうと「元に戻っただけ」ということになり、問題の解決になっていないことを選手自身が感じ取ってしまうので、少しでも上方向になっている実感を持たせなければいけないので、結構大変です。

 

「雨降って地固まる」が理想なのですが、思慮が浅いまま「雨だけ降らせて足下がぐちゃぐちゃのまま」で終わらせてしまう人が多い。

 

 マトリクスの左側に偏っておきながら、何も得られないなんてことになると、結局「わだかまり」だけが残り、最終的にはチームが崩壊しますので注意しましょう。

 

【次回へ続く】