そもそも、この失点の一番の原因は、前衛A1がポーチを決めきれなかったことです。
いや、決めきれなかった、というよりも、弱く浮いたボレーを、しかもコート中央に向かって打ってしまった明らかなミスショットでした。
同じチャンネルの他の動画では、ポーチのとき狙うべき場所として、前衛の足下、というふうに紹介されていたので、その点については、この動画制作者の方の考え方と僕の考え方に大きな違いはないと思います。
このミスショットそのものをしない方法については後述するとして、問題なのはこの動画の解説のように、本当に、
「前衛A1がポーチに出て、(タイミング的に)ボールに触れることが分かった瞬間に、サイドチェンジをするべきだった」
のでしょうか?
たとえば、僕が考える理想的なポーチの形は、次のようなものになります。
これは「前衛の基本的な動き その11」で紹介したもとの同じです。
もちろん、こんなふうに上手く決まらないときはよくあります。
たとえば、このボレーが「コースとしては狙い通りに打てた」けれども「少し弱い」せいで、相手前衛が返球できたとしたらどうでしょうか?
そう、この場合、相手前衛が返球する方向は、ポーチを打ったばかりの前衛の位置にもよりますが、そのまま後衛側のサイドに返ってくる可能性が高いわけです。
とくに「ポーチが弱くなってしまった、浮いてしまった」ということは、うまく踏み込んでボレーできていない場合が多く、すぐには反対サイド(この図で言うと右サイド)を前衛がカバーしきれない場合があるわけですから。
となると「前衛A1が触れることが分かった瞬間」には「サイドチェンジを決定」できないことになり、
「前衛A1がポーチに出て、(タイミング的に)ボールに触れることが分かった瞬間に、サイドチェンジをするべきだった」
というのは、前衛A1のミスを最初から予想した動きになるわけで、あまりにも結果論過ぎる、ということになります。
ポーチボレーのコースを確認した直後に「相手前衛はどこに返してくるか」を予想して動く、というのが現実的です。
もちろん、その判断が早ければ早いほどよいのですが、少なくとも、味方前衛がボールに触れるのが分かった瞬間、というのは、性急すぎると思います。
これは、どちらの戦術が正しいか、ということではありません。
味方ペアが「ミスをしてもよいように」準備をするか、「ミスを前提として」準備をするか、という「考え方の違い」でしかないのです。
もしも、同様のミスがあった場合は、ミスが分かってからのサイドチェンジはしかたがない、というのが僕の考え方なんだ、ということです。
その結果、動画のように逆サイドに決められたらそれはもうしょうがない。
それよりは「しっかりとポーチが打てたのに返された」という状況に対応できる場所にポジショニングする方が良くないですか?、というだけなのです。
【次回へ続く】