冬場は、日没も早く、天候不良で外での練習がなかなかできず、廊下などでの練習が多くなるのですが、体育館をお借りできたときにはボールを使った練習をできるだけ行います。

 

「部活で行うトレーニング」シリーズで、正しい方法での筋力トレーニングは必要だ、というお話をさせていただいていますが、それも、ボールを使った練習に加えて、という条件付きです。

 

 これは記事内でも書かせていただいていますが、トレーニングは「費用対効果」を常に考える必要があり、筋力の向上に必要な時間が長すぎる場合、その時間を技術練習に回した方がテニスがうまくなる、っていうことは十分あり得るわけですから。

 

 そう考えると、小学校や中学校時代というのは、筋力トレーニング──いわゆる「身体作り」の費用対効果がそれほど高くない年齢ですから、ダルビッシュさんの言うように、ボールを使った身体作りのほうが、野球技術の向上に役立つのではないか、と思います。

 

 関連して、1年生は球拾い、というのはうちのチームのルールにはありません

 

 1年が入部した当初というのは、ちょうど春季総体を控えた時期にもなるので、練習コートが1コートしかないときには、2,3年生を優先せざるを得ません。

 

 また、その間、1年生は高校受験で落ちた体力をちょっとでも戻してもらうためにトレーニングを多めにやってもらうことはあります。

 

 が、1年生はボールを触らせない、ってことは絶対にありません

 

 うちのチームの場合、初心者の生徒が圧倒的に多いので、テニスラケットさえ持っていない生徒も多く、全員がラケットを買いそろえるまで数日はかかります。

 

 が、僕の予備ラケットでも使えば全員ラケットをもてるようになった段階から、すぐに、ラケットとボールを用いた練習を始めます。

 

 さすがに僕自身、初心者がいきなりフォアハンドが打てるような魔法は使えませんので(笑)、ボールとの距離感を図るゲームなど、ラケットとボールを使った遊びのようなものからはじめ、ボレー、サーブ、そしてちょっとずつストローク、というふうに段階を踏んで技術を習得してもらいます。

 

 3年生が抜ける春季総体終わりまでに、少なくとも球出しメニューぐらいはできるようになってもらわないと、困りますから。

 

 その間、2,3年生の練習とは全くの別メニューです。

 

 2,3年生は、自分たちで交代で球拾いです。

 

 僕自身は、あっちを見たりこっちを見たり大変なんですし(笑)、3年生はすぐに引退するため、1年生との交流が少なくなり、それはそれでかわいそうなんですが、雨が降れば室内でのトレーニングで接する機会もありますし、アイスブレイクを何回かするうちに、すぐに打ち解けてくれます。

 

 3年生が抜けて、1,2年だけのチームになったら、そのときにはまた学年関係なしの練習メニュー

 

 新チームになったばかりの頃はまだ、交代で行う球出し係は、うまい2年生にお願いすることが多くなるので、その代わり1年生が球拾いの「担当」になる、という程度。

 

 打つのはみんな交代でやりますから、1,2年で打つ量は変わりません

 

 また、最初のうちは2年生の方が圧倒的に上手いので、2年生がゲーム形式をしている間に、1年生は改めて基本的な球出し、みたいな練習はありますが、1年生だから2年生よりも練習機会が制限される、なんてことはありません。

 

 基本的にグループ分けして全員交代で球出し練習をするので、ボールを打つ量は変わりませんし、秋頃からは、次の年に向けて1年生にも球出しの練習をさせます。

 

 僕自身は、中学、高校の頃に、球拾いをやっていた記憶があります

 

 だからこそなんですが、球拾いをして、テニスがうまくなった覚えはないですし(笑)。

 

 球拾いが、球技の技術向上に、どんなふうに寄与しているのか、だれも説明してくれません。

 

 そんなことでもしないと、礼儀作法や上下関係の大切さを教えられない、無能な指導者であることを公言しているようなものだと思うんですが、球拾いを人格形成の特効薬のように思っている人たちは、そういうことにさえ考えが及ばないようです。

 

【次回へ続く】