今後も、気になる筋力トレーニングがあれば、随時紹介していきたいと思います。

 

 そのうえで、改めて筋トレに関する考え方を。

 

 高校部活動で、本格的な筋力トレーニングに取り組んでいるチームはそれほど多くありません

 

 理由はいくつかあります。

 

① そもそもチームとして、競技技術の向上に関心が無い。

 

 これ、結構あります(笑)。

 

 すべての生徒・選手が、そういう向上心を持つのが一番いいのですが、それは現実問題として難しい。

 

 できれば楽をしてうまくなれたほうがいいですし(笑)、そもそもうまくなるという気持ちが低い選手も多く、それはある意味、多様性として受け入れざるを得ない。

 

 全ての部活動、チームが、高い競技者意識を持っている必要はないわけですしね。

 

 よほど意識が高いか、いわゆる「トレーニングマニア」でなければ、地道な筋力トレーニングを好んでやりません

 

 だからこそ、コーチや監督の「指示」や「指導」というものが必要になるのですが、さまざまな顧問がいる中で、すべての顧問にそれを求めるのはさすがに無理だと思います。

 

② やりたいとは思っているが、時間的余裕が無い、設備環境が整っていない。

 

 うちのチームなんかはこれです。

 

 都会のように、頭の良い生徒を集めるだけ集めておいて、実際の受験指導は予備校や塾がメイン、なんてことは、田舎の進学校ではありえません。

 

 また有名私立高校のように、スポーツ中心クラスと進学中心のクラスが分かれているようなこともありません。

 

 全員が授業でがっつり受験対策をやるために授業時数も多めですし、長期休業中にも課外授業が行われます。

 

 テスト前・テスト中は部活動が中止になりますし、外部模試は1,2年生は全員受験ですから、土日でも部活動ができないときが結構あります。

 

 生徒の家庭学習時間を確保するためにも、平日の夜遅くまで部活動をする、なんてこともできない。

 

 となると平日も休日も、練習時間はかなり限られており、そんななかで筋力トレーニングに割ける時間はごくわずか。

 

 少なくとも日常的にガッツリ組み込む、ってのはできません。

 

 やるとすれば、雨の日などに、室内練習の一環としてやる、という程度でしょうか。

 

③ 顧問・選手の知識が乏しく「競技力向上に筋トレは必要ない」と思っている。

 

 いまだにこういう考えの人は多くいます。

 

 実際には、競技力を高めるための筋トレの方法を知らないだけですし(笑)、筋トレの失敗例だけをあげつらって、それを一般化することで、自分の考えを補完する感じです。

 

 これについては「その1」でもお話しましたね。

 

 いままで「ボディービル」のトレーニングしかやったことのない、ずぶの素人を捕まえてテニスをさせ、

 

「ほら、筋肉があっても、テニスのフォアハンドは遅い」

 

 っていう、とんでもなく当たり前のことを「無駄な筋肉」のせいにする、っていう論法が、いまだに横行しているわけです(笑)。

 

 もちろん、間違った筋トレはあります

 

「筋肉をつけること」そのものを目的とし、「身体を大きくすること」を目標としてしまうと、必ず失敗をします。

 

 しかも、その間違った筋トレをプロアスリートでさえやらかしてしまう(巨人の沢村投手や若い頃のゴルフの石川遼選手など)からたちが悪い。

 

 自分の競技にあった、そしてなにより自分の身体に合った筋力をつけなければ意味が無い。

 

 腕が太もものように太くなっても、しなやかに動かなければ良いサーブは打てませんし、どんなに足が太くなっても、体重が重くなったら、結局足は遅くなります。

 

「競技力を向上させる」ことを目的とし、「必要な筋力をつける」ことを目標にしなければいけないのです。

 

 選手に筋力トレーニングを指導するときには、そこまでをしっかりと考えて指導しなければいけない一方、筋トレ否定論者の指導者は、それを実践するためにトレーニング理論を学び、きめ細やかに指導することがめんどくさいだけにすぎない。

 

 学校部活動の顧問には、そういう人がまだまだいるんだと思います。

 

【次回へ続く】