さて、前回の続き。
前回には「エッグボール」は、ボブ・ブレット氏という有名なコーチが日本のテニス雑誌で紹介した言葉が広まっているんだ、という話をしました。
さあ、そこで今回の本題です。
「エッグボール」という言葉自体は、非常にわかりやすく、雑誌の紙面上だけで理解しないといけない一般読者にとっても非常に役立つ用語です。
ただ、この言葉が独り歩きを始めます。
まず、テニス雑誌、またはその執筆者が乱発し始め、本来の意味がわからないまま使う人が増えてきます。
その過程で、エッグボールがあたかも特殊なショットであるかのような誤解が増えることになりました。
何度も言いますが、エッグボールは非常に強力なトップスピンにつけられた「愛称」でしかありません。
それがいつの間にか、特別な回転をしたショットであるかのような、言ってみれば、マンガの「テニプリ」に出てくる必殺技のような扱いを受け始めます。
すると、自然とその「特別な回転をもつショット」を打つためには、「特別な打ち方」が必要であるかのような解説をする人が増えてしまいました。
もちろん、強力なトップスピンを打つには技術的な「コツ」が必要ですが、それはあくまでもトップスピンの延長でしかありません。
ですから、オープンスタンスじゃなければ打てないわけでもなく、ナダルのようにフォロースルーを頭の上にあげなくてもいいですし、ましてや体重を乗せて打てばボールが「重く」なるわけでもないんです。
Yahoo知恵袋で「エッグボール」と検索すると分かりますが、エッグボールをトップスピンとは全く別物として扱っているものが多いこと多いこと。
もちろん、プロが打つような「エッグボール」は、われわれ素人のものとは「異質」ではありますが、けっして別物ではありません。
ボールの軌道も、物理学の基礎がわかっていればおかしいことが分かるはずですが、そういうことはなかなか理解してくれない。
例えば、実際にはカーブとスライダーの違いほどには差がないはずなのに、あたかもカーブと大リーグボール1号ぐらいの(古くて失礼)違いがあるかのような扱われ方なんです。
たぶん、そういう人たちは、スライダーが「バッターの胸元で急激に曲がる」と「本気で」思っている人たちなんです。
私は生物の教員でもあるので、目の錯覚なども含めて生徒には説明するようにしています。
なんの下知識のない初心者のほうが、実践して見せてあげるとすぐに理解してくれるからありがたい。
Yahoo知恵袋の「トンデモ」解説のなかには、昔のスポーツアニメよろしく、強い回転の遠心力によってボールが卵のように変形することをエッグボールだと思っているものもあります。
遠心力でテニスボールを変形させるのに、どれだけの回転量が必要なのか計算したことあるんでしょうか。。。
あ、僕の腹黒い部分がでてしまっているので、これまでにするとして、、、
自分の「感覚」と「科学」をすり合わせながら、そのなかで誰もが理解してくれるような「言葉」を選ばないといけない。
生徒たちをコーチングしていてつくづく思います。
「科学的」に間違っていたら、ぜひ、教えてください。
生物が専門なので、人間工学などには自信があるんですが、物理と化学はどうも。。。。
これから、よろしくお願いします。