先程、ライブを終えて民宿に戻る。
この宿は素敵だ。築109年の古民家をそのまま使っている。
ついた時は5歳の宿主の子供が出迎えてくれた。座敷わらし的な。

今回呼んでくれたのはZというラッパー。
10年前からの付き合いで東京に来た時はうちに泊めたりしてた。
今回、ベーソンズを呼びたいと誘ってくれたので喜んで来たのだ。

リハを終え、Z達と一緒に美味しい魚の炉端焼きを食べて色々話す。
そのあと、本番前に会場へ。
僕らの前がZだったがなかなか始まらず、僕らのライブ時間になってZがスタート。
リハの時点でZはラップとベースでライブすると言っていた。
ところが…
始まってみると、山ちゃんがベーソンズ用にチューニングしたドラムに店の店長でPAの方が座ってて叩き始める。
つまり。
ドラムとベースとラップのライブが僕らの前に行われていたのだ。
ラップはフリースタイルというか…さっきご飯食べた時に僕が言っていた話をそのまましている。
しかも、言いにくいのだが。
クオリティーが低い。

ドラムとベースとラップ。
それぞれがそれぞれのポジションでギリギリのパフォーマンスをしないと成立しない。
だから、毎回刺激的にライブを行う。
簡単じゃないよ。
スタジオで練度を上げて臨む。当たり前の話だけどね。

即席で同じ編成でやれば、まあ、こうなるよなという内容で。しかも客も数人が帰っていく。これをベーソンズだと思われてたらどうしよう。

結構絶望的な気持ちになった。
ベーソンズは初見のお客さんに対しては、まず編成で驚かせる。ドラムとベースとラップで成立する事を見せる。
それが凄く適当な形で先にやられている。
しかも呼んでくれた、長年の友人とも言える奴に。で、言ってる内容まで俺の話をそのまま使って。
どうしようかと思った。
山ちゃんも大策も困っている。
落ち込んじゃって。

1曲やって帰ろうか?くらい話したけど。
山ちゃんが木っ端微塵にやりまくってイメージを消し去るしかないよ、と言ってくれて。
落ち込みは怒りに変わった。
なんでこんな気持ちにならなければいけないのか?

ステージに上がってセッティングして。
1曲目はウダウダ。
ブレイクでパクリ野郎との違いを見ろ!と宣言した。
3人のエネルギーはかなりのものでハードなライブになったけど、数曲やるとフロアの熱気がものすごくなり、ライブ自体を楽しむいつものパフォーマンスにシフトした。
5yearsで締めて最後は喝采を浴びてライブは終了した。
最後は笑顔になっていた。
怒りに任せたパフォーマンスでスタートしたのを未熟とも言えるが、それをちゃんと演奏に乗せてパワーに転化出来た。大策はベースもめちゃくちゃ怖い音になってたみたいだけど。

ライブを終えたら、人形師の阿修羅帝国さんがベーソンズ人形を作ってくれた。
これが可愛くて!
凄く嬉しかった。

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さらに。
大阪からわざわざ観に来てくれた女の子がいて。
NEWS RAP JAPANも毎週観てくれてるという。
その子も前のライブを観てはてなが浮かんでたらしく、僕が怒っているのを見てすぐライブ止めて帰っちゃうんじゃないか?とハラハラしてたらしい。
結局は1時間フルにやったんだけど。
せっかく観に来たお客さんをそんな気持ちにさせたらいけない。

久しぶりに会ったRIGO君。
ライブを楽しんでくれた皆さん。
これで気持ちはだいぶ救われた。

ところが。
ライブ中にもわかりやすく伝えたにも関わらず。
ライブ後も楽屋に戻っても。

Zは話にも来ない。どこにいるかも分からない。
これがまた悲しかった…
じゃあ、あの僕らの前のあの出来事はなんなのか?
というか、普通に主催者として呼んだゲストのライブ後に一言も無いのか?

朝までクラブにいて。
店とギャラの精算をして。
高澤くんが帰ることを告げる。

車で出発しようとするとようやくZが来た。
僕は上で書いた気持ちを伝えて何だったのか? を聞いたけど、なんの答えも無かった。

僕は今日の出来事へのZなりの答えを考えてくれ、とだけ伝えて宿に帰った。

怒りはフォースのダークサイド。
コントロールするのも難しい。
それを形に出来たのがバンドだ。

でも。
やっぱり楽しくやりたかったなー。

自戒の念も込めて。
明日、というか今日は京都。
West Harlem。

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楽しくやりたい。

宇宙平和