ナイトメイヤー記事第3弾。
ここからはアムステルダムとロンドンの事例です。
日本ではどうしていくべきなのか?ニューヨークはある種の折衷案を取っていますが、どれだけ効果的でしょうか?
 
下記の記事の翻訳です。
 
独立性を保つべきだ
 
 「重要なのはナイトメイヤーという役割がただの集票マシーンだったりの政治的道具にならないことです。」アムステルダムのナイトメイヤー、ミリク・ミランは語る。「長期的なヴィジョンを市政に届ける。ナイトライフは都市全体と繋がっているのです」
 
 これは「メイヤー(市長)」という言葉とは相反するようにも見える。ナイトメイヤーという言葉そのものはアムステルダムが広めたようなものだ。しかし、ヨーロッパの多くの都市におけるナイトライフ組織は市行政の手によるものではなく、独立したNGOである。
 アムステルダムのナイトメイヤーもベルリンのクラブ・コミッションもそれぞれ国から一定の資金援助は受けているが、運営はあくまでインディペンデントなメンバーによる。彼らは市当局と応対出来るが自主、独立である。
 
 ここが重要である。市民社会を深く発展させる事が可能であり、より多角的な視点に基づいて施設を創っていくことが出来る。多角的な視点には当然市政や市経済に深く根差すものも含まれるが、自動的に政治的な要請に応えるものでも、 ビジネスグループの利益に即応するものでもない。
ナイトメイヤが提案するものは長期的視野で考えられており、現職の市長が職を失った瞬間に効力を無くすようなものではない。
 
 ナイトライフ事務局が特別政治的な力を有しているわけではない。彼らはどちらかと言えばインディーのロビイストのような存在だ。それでも、アムステルダムのナイトメイヤーのようにかなり広範に渡る人々の意見に基づいた提案ーそうした人々に対して市庁側が直接連絡を取れる場合は極く限られているーは、やはり一定程度の重要性を持ち、傾聴に値すると市の行政側も考えざるを得ない。
 
 逆に、真の独立性の欠如は深刻なマイナスを引き起こしかねない。
ロンドンのナイト・ツアーの例が該当するだろう。ナイトツアーはロンドン市長から直接任命され、事務局も市庁舎の中にあるため、行政とあまりに緊密な距離を取っていることが本来の職務の障害となっていると指摘されている。
 ナイト・ツアーのエイミー・レイムはロンドン市長、サディック・カーンによって昨年11月に任命され、英国労働党とも近い関係にある。彼女の立場はヨーロッパの他のどこよりも政治的であると言える。
その為、発足当初からカーン市長への政治的な批判の標的とされてきた。従って、彼女の将来や提案もまたカーン市政と関連づけられ、彼の影響力から脱することは難しいと思える。このことが彼女の職務にダメージを与えると断言するには早い。しかし、ロンドン市長事務局はレイム氏の就任以来、彼女に対する
多くのインタビュー取材を拒否したり無視してきている。
 
 ニューヨークはこの落とし穴を避けることが出来るのか?市庁舎から任命され、市長のメディア・エンターテイメントオフィスの中に事務局を構える流れは、独立性を保っているベルリンのクラブ・コミッションよりはロンドンと近い状況を生む可能性がある。
 
 エスピニャール市議はこれに対して、ナイトライフ事務局の自立性と合法性を高まる提案をしている。ナイトライフ事務局のディレクターは12人のメンバーから成るナイトライフ・アドバイザリーボードと共に働くことになる。アドバイザリーボードはゾーニングの専門家、アーティスト、コミュニティーの代表、そしてナイトライフ事業者らによって構成される。12人のうち4人は市長によって指名されるが、残りの8名はニューヨーク市議会によって選出される。これによってナイトライフ事務局が市政のエコーチェンバーと化すことを防ごうという考えだ。
 
続きはまた追って!