DJ KENSAWさんが亡くなった。
オリジナル赤い目フクロウ。

 

気づけば不思議な縁でお宅にもお邪魔したし、僕のうちにも泊まってくれた。嫁も含めて韓国料理屋で飲んだし、娘とも遊んでもらった。
娘には「フクロウのおっちゃんだよ」とニコニコ話してくれた。
さっき、娘に言ったら覚えていた。フクロウのおっちゃん。

 

DJウラタと呼ばれてお宅に行ったときは暑い昼下がりにヒップホップのDOPEの概念を笑い話も交えながら教えてくれた。なぜTOO $HORTがかっこいいのか?EPMDがかっこいいのか?
I to Iでのプレーの際、ヒップホップを期待するフロアに対し、ゆっくりとダンスホールレゲエをかけて独特の雰囲気を作りながら、最後にドズン!とドラムブレイクを落とした時の快感。終わった後に、欲しい欲しいって空気に簡単に乗らないでジリジリと攻めるのがDJだ!と呂律がぎりぎり回っているタイミングで語ってくれた。

 

僕が病気で倒れた後、復帰して神戸でライブをしたとき。
楽屋で後ろから「おっさん、生きてるか?」と声をかけられて振り返ったらKENSAWさんだった。どっちがおっさん・・・とは思いましたが・・・
真顔で「身体には気を付けろよ」と怒ってくれて、漬物の瓶詰を手渡ししてくれた。

 

東京に来るときは僕も会いに行くようにしていた。
僕が教えた東京のカレー屋には一人でも良く行っていたみたいです。

 

ふと気づいたら東京行きの新幹線チケットを取る係に任命されそうになり、梟観光東京支部(本当の観光)に就任させられそうになったのも良い思い出ですが・・・

 

KENSAWさんが茂千代とライブに来た翌日、電話があり。
「これから浅草寺に行きたいから連れってくれ」と頼まれた。
あいにく僕はその時宇都宮にいたので、渋谷からなら銀座線で浅草まで一本ですよ、と伝えたら。
「電車もいいんだが、千代が嫌がってるからな~」と茂千代が突然巻き込まれてしまった。
「お前の後輩で車出してくれるやつを回してくれ!」と頼まれたのですが、パッとKENSAWさんの相手をしっかり務められるスキルのある後輩が思い当たらず。
「しゃーない、じゃあ今度な」となった。
浅草寺、連れてってあげたかったです。

 

DMCの関東予選の日もたまたま上京していて。
「相手せえ!」と頼まれたんですが、MCをしなければいけないと話すと。
「じゃあMCの合間にでも相手せえ!電話しろ」とのことで・・・
合間合間に電話でいま、どうしてますか?と伺うことになりました。
BEN THE ACEさんのラジオに出してもらったから今はいい。でも終わったらヒマだぞ、どうしてくれるんだ!と言うので、さてどうしたものか?と困っていたら。

 

YOU THE ROCK★こと真っ赤な目をしたフクロウから電話。

「ダース、お前DMCの司会だろ?大丈夫、こっちは俺が合流したから一緒に飲みに行って楽しくやってるから。しっかり頑張れよ!」と心強いお言葉。フクロウ同士で盛り上がることでしょう。
さすが兄貴!

 

さて、DMCも無事終わり・・・確かこの日はBUNTAが前日にレコードを箱ごと無くしてえらい目にあったりと思い出深い日でもあったんですが・・・お疲れ様~なんて話してたら、KENSAWさんから電話。

「おい、こら!どこいるんだ!」とえらい剣幕で・・・ちょうどMC終わったのでCLUB ASIAにいます、と伝えると。
「今から行くから待っとけ!」と・・・
で、しばらくするとベロンベロンで登場して。
「お前、相手するって言っただろ!」と怒られた。一緒に一人後輩のコがいたので、「あれ?YOUさんが一緒では?」と尋ねると。
「YOUさん、相手しきれなくなってトイレ行くと言ってそのままいなくなりました」・・・さすが兄貴・・・

 

とりあえず延泊の手配をしなければ、と前日KENSAWさんが泊まっていたホテルを聞き出して連絡、延泊のお願いをする。
後輩のコが連れて行ってくれることになったのだが。
一回チェックインして出直しましょうと説明をして、歩き去ろうとする間際、KENSAWさんが振り返って。
「お前、俺がいない間にまた楽しいことしようとしてるだろ!」と言われました・・・
結果、部屋入った瞬間に熟睡されたようです。

 

僕でもこんなに思い出があるくらいだから大阪のみんなはもっとあると思います。
素敵な人でした。

 

最近お会いする機会も減ってしまい、身体の調子が悪いことも聞きました。
カクレアワビだかのウラちゃんとのライブを観てくれて、ニコニコしながら「ファンキーやな」と言ってくれたのが本当に心強かったです。

 

僕も病気してからようやくDOPEの意味がちょっと分かってきましたが。
HIPHOPでDOPEと言ったらなにか?
それを体現していた存在。DJ KENSAW。

 

 

DOPE LIVES ON。