本日より改正風営法が施行された。

法の詳細はクラブとクラブカルチャーを守る会の藤森弁護士がハフィントンポストで連載で紹介してくれるようです。
http://www.huffingtonpost.jp/jun-fujimori/

さて、4年前、BAZOOKAで放送されたFUCK風営法という特集から気づけば4年です。
そこで知り合った齋藤弁護士に勉強会に誘われ、そこからクラブとクラブカルチャーを守る会結成、法改正に至る様々な道程や考察はブログでつどつど書いてきました。

そして・・・今朝0時。

僕は渋谷スクランブル交差点で街頭ビジョンを見つめるZEEBRAに照明を当てていた(なんでだ!って状況ですがw)
0時から1分間、渋谷交差点の大型ビジョン4面からZEEBRAによるPLAY COOLメッセージCMが流れたのである。それを見つめるZEEBRAを撮影していて、僕は照明係をしてました。
ま、照明係はさておき・・・
法が改正する瞬間をそうやって実感したのです。

メッセージCMはこの後公開されると思いますが・・・クラブ演出部のHajime君チームが制作してくれた映像で、今日からスタートする新しいフェイズへの心構えを語っています。

昨日は朝からZEEBRAのナイトアンバサダー就任記者会見、夕方からDOMMUNEでSHAPE OF CLUB CULTURE TO COMEの放送と怒涛で・・・帰宅して泥のように眠り。
そして今日の昼、THE BASSONSのリハに若干遅刻したタイミングで起きた。

4年でどこまで来たのか?
メッセージCMでも言ってますが、実は新しい扉が開いた・・・に過ぎません。
その先、どこに進むのか?どんな景色が広がっているのか?

期待している人もいるだろうし、不安に思う人もいるだろう。
そもそも4年前、この扉が開くなんて真面目に考えている人はほぼいなかったと思う。
でも、扉は開いた。そして、その先に進むしかないわけです。

昨夜のDOMMUNEでEMMAさんが不安の部分もかなり掘り下げて語ってくれていた。
TLで不安を呟いてるアカウントもいくつかありました。
あのEMMAさんをはじめとしたDJの皆さんの議論は聞いていただけただろうか?
そう、結論はまだ出ていない。扉が開いただけなのです。

僕は楽観主義者だ。
そして、自分の船は自分で操舵しよう、と思っている。
4年前、僕は穴を見つけてしまった。同じように見つけた人たちがいた。
僕らは、そこに穴があるのを見て見ぬふりは出来ず、塞ごうとした。
アクションした。
気づかなければ放っておいただろう。実際65年ほど気づかれていなかったのだ。
いや、気づいてる人が警鐘をあげる場面もあった。

風営法は今世紀最後の禁酒法ってことさ。

でも、ドアだけしめときゃばれなかった。
ちょうど上で比喩として使っていた扉。その扉が開いた。
さて、中はどうなっているのか?そして中から観た外は?

怖い人は、なんでドアを開けるんだ!と言うかもしれない。
でも。いずれにせよドアは開かれたと思う。
国の大きな方針は規制緩和で、そこには文化的視座より経済的視座が強いのもご承知の通りだと思う。
扉を斧で叩き割る開け方だってあり得たかもしれない。
でも、少なくとも今回、取っ手の端っこだけかもしれないけれど。
ダンスに関わる様々な業界の人たちが集まって、指をかけた。
扉の開き方にちょっとでも力を加えることは出来た。


家具の比喩ばかり続くのは先日IKEAに行ったからかもしれませんが・・・

僕のイメージはテーブル作りです。
対話のテーブルを作る。
そのテーブルには、クラブオーナーが座り、クラブユーザーが座り、演者が座り、住民が座り、行政が座り、場合によってはプレス、弁護士、政治家が座る。
そして対話する。

このテーブルがなかった。

いや、そもそもクラブオーナー同士が対話するテーブルもなかったし、DJ同士が対話するテーブルもなかった。
対話はなく、でも対立はあった。

ちょっと腰を下ろして話そうよ。

なるほど、そういう考え方があるんですね。僕はこう思います。

これがなかった。お前らが座るテーブルなぞない!お前らの話なぞ聴く必要がない!
だから、テーブルが必要だった。

ダンス議連は超党派でダンス業界にも様々な考え方の人がいる。警察の考え方もあるし、町内会の考え方もあり、商店会の考え方もある。
相手がどう考え、自分はどう考えるのか?

テーブルが必要だったんだと思います。

少なくとも、それは出来た。
話をはじめることが出来た。そして話をすることが可能なことがわかった。
その先、どう話すか?なにを話すか?

まずはテーブルに座りましょう。
僕がそこで話したいテーマは昼の12時間と夜の12時間、1DAYじゃなく12時間づつの2つの生活圏が、それぞれをどう許容し、どう交流し、関係していくのか?その先にどんな街づくりが出来るのか?そんなコトだと思います。

もう一つ。
ヘイトスピーチの法案でも僕は思ったこと。法の実効性、法整備ももちろん大切ですが。
時代精神のアップデートこそが肝要だと思う。
ヘイトスピーチ、差別は悪である。
それが常識となるように時代精神をアップデートする。
100年前、30年前、10年前・・・常識はそれぞれ違っていた。
今の時代精神にアップデートするきっかけが法律の制定の意味合いだと思ったのです。

改正風営法には整備が必要だったり、前の法文をスライドさせただけで実態にそぐわない箇所も多々あります。
でも。
「夜、音楽で楽しみながらお酒を飲み、人によっては踊り、人によっては話したり、人と人が出会ったりする場所がある」
これが常識にになっていけば、法整備も進んでいくと思う。
これが常識でなかったのは、多くの人と話してきた僕の実感です。
「夜は寝るもんだ」「音楽なんかなくても人は死なないから、夜無理して聴く必要はない」
そう思っている人だってたくさんいました。

ダメだ!おしまいだ!
と思う人はアクションするのが良いと思う。
自分の居場所を宣言する。
時代がちゃんとアップデートしていれば、協力者も現れる。

僕は楽観的かもしれない。
でも、アクションして良かったと思っています。
微々たるものだったとしても。

先日、サルサの村山さんと会って話をした。村山さんがパリに行った話を聴き、そして今回の法改正のことについて語った。
年齢も違うし、歩んできた人生も違う。
でも、出会えて話が出来た。ラッパーが、サルサ業界の方と話しが出来た。
そういう人が僕にはたくさんいる。
クラブとクラブカルチャーを守る会の皆さんもそうだ。
年齢やジャンルも違う。考え方も違う。
そういう人たちと知り合えた。これは素晴らしい経験だ。
なにもしないでいたら、きっと出来なかった経験だ。

この日まで頑張ろう、というのが会の決めごとだった。
昨日のDOMMUNEでも話したけど、会はいったん発展的解消をする。
僕自身がどうするか、まだ考えていない部分もある。

でも、誰も開かないと思った扉が開いた瞬間を見ることが出来た。
その先に、大きなテーブルが置いてある。
その光景を見ながら、とりあえず一息ついています。


PLAY COOL!