男子席から出まして、月光殿の縁に並んで月窓軒の席入りを待ちます。

 

 月窓軒は御家元席。

 

 また、とびきりの道具が出てくると期待していましたが、ブログを読まれている方は、既にご存知可と思います。そう、ハンネラ水指が目玉です。

 

 お床は消息で、安藤家から旗本竹中家に出されたものだそうで、後から調べたら、この竹中家は竹中半兵衛重治の直系だそうです。竹中重治の子、重門が関ヶ原の戦いで東軍に寝返っており、開戦前から井伊直政・黒田長政と通じていたとされています。

 

 美濃国不破郡に六千石で領地を拝した竹中家とどういう繋がりがあるのかというと、安藤家には飛び地で美濃に領地があったそうで、その辺りの関係かもしれませんね。

 

 風炉は珍しい今戸焼 白井半七の土風炉。

 こちらは、めくれなどができていたので、継いでもらおうと塗師に出したら全部塗り直されてしまって帰ってきたそうで、御家元もがっかりされておられましたが、今どきの塗師さんってそういう理解なんですかね。

 

 古い道具は塗り直さず接いで使うものなんですが……。

 

 釜は四方釜。これも江戸期の古いものです。釜膚のかせ具合がとても素敵でした。

 

 ハンネラ水指については、先に道歌で触れましたので省略しますが、しっとりと濡れた膚が乾き始めて土色をみせているのがなんとも言えぬ素晴らしさでしたよ。

 

 主茶盌は桜井戸。

 井戸の一種で、不昧公好の「桜井」系統の明るい鳥の子手の色をした井戸茶盌です。腰下から高台脇までを箆(へら)で削ぎ落としたような姿が特徴的でした。

 

 先代綾信公遺愛の品で、繕いが赤溜というのがこの桜の由来かと思われます。

 

 やや小ぶりですが、三客分のお茶がいただけるだけの大きさはあります。

 

 二盌目は安南で、見込み蛇の目のわたしの大好きな茶盌。これと紅安南で一対です♪(どちらも好き)

 

 三盌目は黒織部ですが、かせ方が違います。どうみても桃山陶か遅くても江戸初期。こちらも綾信公遺愛の品。なんと、普段遣いになさっていたそうで、400年使い込まれたからこその、あのかせた色なんでしょうね。

 

 そして花が負けてしまうほど上等な唐物花入に、若い女性の唇も負けてしまいそうな弁柄色の長香合(これも唐物)。

 

 必見だったのは菓子器で、一閑人祥瑞大鉢、二閑人祥瑞大鉢、三閑人祥瑞大鉢。いずれも明代の景徳鎮のもので、揃いででてくるのは始めてみました。全て閑人が外を向いています。

 

 この圧倒的な唐物づくしで物語を作るというのは、まさに大名茶ならでは。

 

 そして、一尾伊織の華奢な茶杓のたおやかなこと!

 

 しばし歓談させていただき、次のお部屋に向かいました。