購入元:ヤフオク
購入額:★★★★☆
 
 何気なくみていたら面白そうな茶杓がありました。
 
 なになに
 
「聖徳太子古戦場勝軍寺境内菩提樹にて作之
            観心寺 真状」
 
 と書いてあるようです。
 観心寺というのは河内長野にある寺で、真言宗の寺院。弘法大師や楠木正成、後村上天皇に縁ある寺のようです。

 

 

 勝軍寺は大聖勝軍寺というのが正式名称で、大阪府八尾市にある真言宗の寺院。こちらは聖徳太子が物部守屋と戦った古戦場にある寺で、聖徳太子を守った椋の木の伝説があります。

 

 

 この大聖勝軍寺の境内に一願不動尊というのがあり、その前に菩提樹があります。その菩提樹の一枝からつくられたのがこの茶杓です。

 

 観心寺の修行僧が大聖勝軍寺に行った際に、枝を貰って削った茶杓ということでしょうか。

 

 菩提樹というのは、日本における印度菩提樹(インドボダイジュ)の代用樹で、小葉科木(コバシナノキ)と言います。これは印度菩提樹が中国では育たない(熱帯性植物のため)ために、似たような植物である小葉科木を栄西が日本に持ってきたと言われます。

 

 栄西と聞くとなにやら茶道がらみに感じてしまうのは、茶道家の悪い癖ですw

 

 無憂樹(釈尊誕生の木)・沙羅双樹(釈尊入滅の木)と合わせて、釈尊悟得の木として仏教の三大聖樹とされます(本当は印度菩提樹ですが)。

 

 ちなみに沙羅双樹も日本では「夏椿(ナツツバキ)」を代用樹として植えています。

 

茶杓の形はやや右に傾いた感じのつくりで、真形ではあります(節づくりがない)。
 
反り腰で、ややカーブが深いので、拝見に出す際は転がりそうなので横向きに出したいところですね。
 
 問題は銘の「夕寿ゝみ」。
 
 これは「ゆうすずみ(夕涼み)」のことだと思われますが、由来が全く分からない。
 
 菩提樹の下でうたた寝していたんだから、夕涼みじゃなくて昼寝とか転寝なら分かるんですけどねぇ。
 
藤原有家の「夕すずみ 閨へもいらぬ うたた寝の夢をのこしてあくるしののめ」という和歌を引けばいいのかも知れません。

 一願不動尊の前の菩提樹ということで、不動明王にちなんだ銘に変えてもいいかとは思います。
 
 夕涼みには不動明王の祀られた寺が選ばれることもあるからなんでしょうかねぇ。
 
 しばらくは晩夏の茶杓としてそのままの銘で使いますが、いつかしっくり来る銘を付けたいものです。