令和七年の御題は「夢」

 

 また作家の頭を悩ませる言葉ですね。

 

 では、来年の予想を

 

 ①夢見草【ゆめみそう】

 実はこれ桜の雅称です。なかなかおもしろいですよね。

 桜の絵や、桜の意匠、桜色の釉薬、桜の象嵌など色々な技が考えられます。

 なつめなら夜桜棗をそのまま夢見草として使えそうですね!

 

 ②邯鄲の夢【かんたんのゆめ】

 盧生という貧乏な書生が、趙の都・邯鄲で栄耀栄華が意のままになるという枕を仙人から借り受け、うたた寝をした。このあいだに、50年余の栄華の思いを遂げることができたが、夢が覚めると、炊きかけの粟もまだ煮えておらず、自分は相も変わらぬ貧乏書生であったという、李泌の物語にもとづく説話。
 邯鄲城や、枕の絵などもありです。道具組みとして旅枕を邯鄲の夢として使うのもありですね。

 ③胡蝶の夢【こちょうのゆめ】
 夢と現実の境があいまいで、区別できないことのたとえです。
 荘子(荘周)による、夢の中の自分が現実か、現実のほうが夢なのかといった説話に基づく故事成語。

 蝶の絵や、象嵌、透かしなど、色々出来そうですね。

 個人的には蝶形の窓とか面白そうだなぁ~と思います。

 道具組みとしては、三蝶蓋置などを使うなどもありですね。

 

 ④槐夢【かいむ】南柯の夢【なんかのゆめ】

 淳于棼という人が、酔って古い槐の木の下で眠り、夢で大槐安国に行き、王から南柯郡主に任ぜられて20年の間、栄華をきわめたが、夢から覚めてみれば蟻の国での出来事にすぎなかったという、唐代の小説「南柯記」の故事成語。

 邯鄲の夢と似たようなお話ですが、こちらは槐の木と眠る人の絵になりますかね。

 蟻塚に似た稲塚花入などにつける銘としてもいいかも?

 

 ⑤槿花一朝の夢【きんかいっちょうのゆめ】

 白居易「放言」にある一節で、栄華がはかないこと。

 木槿の花を描くなんてのものもいいですね。ムクゲの形にするというのも茶盌ならあり。

 

 ⑥春夢草【しゅんむそう】

 牡丹花肖柏による和歌集および連歌集。和歌集は永正13年(1516)から永正15年(1518)頃の成立とされ、連歌集は永正13年(1516)頃の成立とされている歌集の名前。ここから一首を取り出して書くのもまた一興。

 ここに掲載されている和歌を一首軸として掛けるのもいいですね。

 

 ⑦酔生夢死【すいせいむし】
 「程子語録」にある話で酒に酔ったような、また夢を見ているような心地で、なすところもなくぼんやりと一生を終わることをいいます。瓢箪を持った仙人の絵でも描いて、酒を煽ってる姿は一興でしょう。

 道具組みとしては、瓢箪関係のものや、瓢の材などがいいでしょうか。

 

 ⑧竹久夢二【たけひさゆめじ】

 今でもコレクターが居るほど人気の高い絵師・竹久夢二の絵の道具なんて素敵じゃないです?

 

 ⑨平家物語

 冒頭に「春の夜の夢の如し」という一節がありますから、これもありですよね。

 琵琶法師の絵なんて如何でしょう?

 琵琶の香合が道具組みに使えますね!

 

 ⑩夢窓疎石【むそうそせき】 

 解説は面倒なので辞書をリンクします。
 

 ⑪夢双窓【むそうまど】
 無双窓と書くのが本来だそうですが、夢双窓ともかくそうです。

 

 こんなところでしょうか。

 作家さんの発想の一助になれば幸いです。