笑いのある茶席というのはどういうものだろう?
私が心掛けているのは「場が真剣になりすぎないようにすること」です。
特に席主(東)が入る前と出た後は客の視線が亭主(点前をする人)に集中しがちです。
場が静寂に包まれて、亭主の緊張度が増すところでもあります。
「皆さん、そんなに見つめないでいてもらえますか? 弟子が緊張して間違えてしまいます」
などと、ヒョイっと首を突っ込んで一言いうと、場が和んで、亭主も肩の力を抜くことができます。
そう、何のことはない、こういうことでいいんです。
茶席は厳粛にあらねば!と言っていいのは、上級者だけが集まる茶事に於いての話で、大寄せの茶会は未経験者に愉しいと思ってもらおう!というエンタメ性が強いことが良いと私は考えています。
ですから、自分の失敗談なんかを織り交ぜて話したり、盒子(喰籠)などなら「身も蓋もありゃしませんから(ホントはあるけども)」などという合いの手を添えてみるとか。
兎角、話は難しくなりがちなので、喩え話を持ち出すのがいいとも思いますし、私はいつでも「茶人は噺家の親戚と申しますので、話ばかりが長くなってしまいまして、大変に御目怠うございました」と締め括るようにしました。
ここでわざと噛むというのも笑いを誘います。
「折角練習してきたのに噛んでしまいました(笑)」と自らを笑うことも一興かと。
席主が笑えば、客も釣られてくれます。
先ずは、席主が笑顔であること。これが大事です。