名残といえば、旧暦九月に行われる中置きなどの点前をする「風炉」の設えで、金継ぎしたものなどを用います。

 

 これは本来、風炉を一年中使っていたものが、冬と春に炉を使うようになったことで、風炉を仕舞うのにこれを名残り惜しむようになったものです。

 

 と一般的に言われますが、実は違っていて「新茶が一年経ってなくなり、古くなって残り少なくなった頃だから」なのです。

 

 五月に詰めた新茶が半年熟成されて開かれる口切りまでの僅かな期間に「いよいよ残りわずかとなった茶葉を名残り惜しみながら季節のうつろいを感じる」のが名残りです。

 

 つまり「風炉の名残」でも「炉の名残」でもなく「茶の名残り」なんですね。

 

 ですから、「風炉の時期にしかしない」ですし、「炉の時期にはしない」のですよ。

 

 近年よく聞く「炉の名残」というのは本来の意味を理解していない人が半可通でいう言葉と捉えています。

 

 ただし、名残りという言葉は茶道以前からあり、「名残の月」の鑑賞が行われていたことからも、茶道の名残りはこの名残の月の鑑賞から転じて行われるようになったものだと考えるのがよいと思います。

 

 名残の月は「旧暦九月十三夜」の月のこと。

 

 ここからが名残りかと思います。