三冬無暖気 さんとうだんきなし
 

出典/碧巌録

 

原文/枯木倚寒巌 三冬無暖気

    こぼくかんがんにより さんとうだんきなし

 

 この語は『婆子焼庵(ばすしょうあん)』という公案(禅の問答書)にある話だそうで、老婆が修行僧を世話していて、修行が相当に進んだであろうからと、娘をけしかけて修行僧を誘惑させたところ、修行僧が娘にこのように返しました。

 

 ところが老婆は「そんな修行しかできなかったのか」と怒り出し、修行僧を追い出して、草庵を焼いてしまったのだそうです。

 

 この言葉は「冬に暖かさがないように、枯れ木が寒い巌によっている」という意味なのですが、それでは修行の価値がないと老婆が怒ったというのはどういうことなのでしょう。

 

 つまり、清廉潔白にこだわっているようでは、真実の悟りにたどり着けないということであり、いわゆる無師独悟に陥ることの戒めの語ということになります。

 

 茶道においても、往々にしてこれは起こりやすいことであり、師が亡くなったとしても、常に師に問いかけ、師ならばどうしたか、どう答えてくださるかを考えなければならないということを教えてくれています。

 

 三冬無暖気。

 

 冬は暖かさがなく、厳しいものですが、それに拘泥していては、もてなしになりません。

 暖気がないところに暖気をもって客を迎える、亭主のもてなしの妙が問われる掛軸ですね。