今から十二年前、神楽坂にある料亭を舞台にした蒼井優主演のドラマ「おせん」が人気を博しました。
原作ファンは褒貶相半ばするという感じだったようですが、原作を知らずに観た方や、着物ファンには概ね好評だったのではないかと私は感じました。
私も原作は読んだことがなく(個人的には原作の絵はあまり好きではないですね)、ドラマで知った口です(笑)
前にもこの話は記事にしていると思いますが、この作品との出会いが、私を茶道の先生になろうと決意させたという思い入れがあるから何度も書いてしまうのでしょう(爆)
この作品の主人公である半田仙の台詞に「その言葉、きっちりつながせていただきやす」という印象的なものがあります。
茶道の場合は「言葉」が「教え」となるかもしれませんが、肝腎なのはそこではなく「つながせていただきやす」の部分です。
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、「つながせてもらいやす」ではなく「つながせていただきやす」なんですよね。
前者が男性的かつ主導的であるのに対して、後者は女性的かつ補助的なニュアンスであると感じませんか?
これこそが伝統の在り方なんではないか?と私に思わせたのですね。
教えるということは、自分が主導的であるようで、実はそれは「自分を介在に流儀と弟子をつなぐ」ということであり、自分が主体ではなく、流儀が主体でなくてはなりません。
ですから、流儀の教えを勝手に変えるようなことは決してしてはならないということです。
勿論、間違いを見つけたら正さなければならないのですが、間違いかどうかをキッチリ調べつくして師匠に確認しなければなりません。
変えていいことは変える。
変えてはいけないことは変えぬ。
伝統とは「次世代に繋げさせていただく」ものであり、そこに謙虚さを持ち続けなければ、傲慢というか増上慢になり、絶えさせてしまうことになると考えます。
私もまだ教室を開いて八年目。
先生としては新米の部類です。
一人でも多くの良い弟子を残させていただけたらなぁ……と思います。