
引重というのは、椽高五段重に各々蓋がついていて、焼物を入れたり、お弁当のようにしたり(被蓋になっているものが大徳寺重)、さまざまな使い方のできる懐石器物です。
これは大昔には香物が主菜に数えられ、味噌汁、向付、煮物、香物で一汁三菜とされていたものが、引重を用いて、主菜の香物を上の重に入れ、それに添えて下の重に焼物を入れて出すようになったものだそうです。
後に、香物が主菜から外れて、引菜(引物)が主流になると、上の重が引菜になり、下の重が陶器に変わって持ち込まれるようになりました(江戸時代)。
こうして考えると、一汁三菜ならば二刻で茶事がゆったりと整えられる気がします。
木村表斎は、京都の漆工で、表派の初代です。
こちらは初代の作だそうです。