先日仕事で花札のことを調べたのですが、花札は十二ヶ月に分けられていて、カス・短冊・種・光の四種類の内三種を四枚ずつ(カスは必ず2枚)で四十八枚で一組になっています。

 

 月は当然旧暦の月です。

 

 一月 松 松に鶴(光) 松に赤短 松のカスx2

 二月 梅 梅に鶯(種) 梅に赤短 梅のカスx2

 三月 桜 桜に幕(光) 桜に赤短 桜のカスx2

 

 四月 藤 藤に不如帰(種) 藤に短冊 藤のカスx2

 五月 菖蒲 菖蒲に八橋(種) 菖蒲に短冊 菖蒲のカスx2

 六月 牡丹 牡丹に蝶(種) 牡丹に青短 牡丹のカスx2

 

 七月 萩 萩に猪(種) 萩に短冊 萩のカスx2

 八月 芒 芒に月(光) 芒に雁(種) 芒のカスx2

 九月 菊 菊に盃(種) 菊に青短 菊のカスx2

 

 十月 紅葉 紅葉に鹿(種) 紅葉に青短 紅葉のカスx2

 十一月 柳 柳に小野道風(光) 柳に燕(種) 柳に短冊 柳のカス(鬼札)

 十二月 桐 桐に鳳凰(光) 桐のカスx3

 

 この内、菖蒲(あやめ)と呼ばれているのは実は杜若(かきつばた)で、杜若の名所で知られる無量寿寺の庭園に因んでいる(在原業平の歌でも有名)。

 

 また、十一月の柳のみカスが1枚で、しかも鬼札と呼ばれており、この絵は「雷光の太鼓釣り」という絵になっています。「雷光の太鼓釣り」というのは大津絵十種の一つで、大津絵は護符として売られており人気を博したそうですが、文化文政ごろから十種に絞られ、初期の風格を失い美術的価値の低いものとなりましたが、民衆には大変人気があったようです。

 

 大津絵十種は

 

・寿老人(外法と大黒の梯子剃り) 長命を保ち百事如意

・雷公の太鼓釣り 雷除け

・鷹匠 利益を収め失物手に入る

・藤娘 愛嬌加わり良縁を得る

・座頭 倒れぬ符

・鬼の寒念仏 小児の夜泣きを止め悪魔を払う

・瓢箪鯰 諸事円満に解決し水魚の交わりを結ぶ

・槍持奴 一路平安道中安全

・釣鐘弁慶 身体剛健にして大金を持つ

・矢の根 目的貫徹思い事叶う

 

 となっています。

 

 また、無視したりすることを意味する隠語の「しかと」は、花札の「紅葉に鹿」が語源とする説があります。十月の札で鹿が横を向いている花札を「鹿十(しかとお)」と呼ぶからだそうです。

 

 この中で、月と花が呼応しないのは柳と桐で、それ以外は季節の代表的な植物が用いられています。

 

 この桐の十二月というのは、面白いことに広口政所釜などがある茶道に通じるところがあり(政所釜は桐と菊の地紋である)、こうした遊戯にも茶道の影響があるのかもしれないと思ったり(笑)

 

 こうしたことも道具立ての一つの物語になったりするように思います。