やっとこの記事が書けます(笑)
と、いいますのは表具を依頼したのを鬼佛庵さんに内緒にしていたからなんですね(笑)
10月の台東区茶会の帰りに寄ったのが春鳳堂さんでした。
春鳳堂さんの若さんである師岡恒平さんと知り合ったのは板橋区の文化祭でした。二度ほどお目にかかり、頂いた名刺を後生大事に取っておいたのです(名刺はもらったら大事に保管してあります)。
宗靜先生(母)と相談し、先ずは電話してみると、折り悪く師岡さんは出られず、半ば緊張しながら家電の方に掛けてみますと、お母様がお出になり、お父様にバトンタッチ。
まくりの入手経路であるとかをお話し、唯一決めてあった「宗丹軸先」にしたいということを申し上げますと、少々渋いお答え。
近年はあまり見ないということなどもお聞きしました。
勿論用途は茶掛。
ただし、有馬頼底老師ですから、それなりに格も整えないといけません。
そこまで話したのち、伺いたいと申し上げ、台東区茶会の帰りに寄ることにしたのです。
行くまでは渋々だった宗靜先生ですが、行って生地選びを始めるとルンルン気分ですよ(笑)
愉しくて仕方がなかったそうで。
単に好みの裂地を選ぶのでもいいのですが、理由もなく組み合わせるのは私のポリシーに合わない。
いろんな裂地を出していただきましたが、物語が全然思いつきません。相国寺の三代管長が袈裟にしたという冨田金襴では派手すぎます。有馬に因んで有栖川裂馬文もいいなぁ〜と思っていましたが、鹿文ならありますよと言われ、馬と鹿では秦の二代皇帝になってしまいます(苦笑)
いろいろ悩みましたが、最終的に相国大龍という号から銀襴奈良蜀江龍文を選びました。銀襴ですので、紺地の金唐草竹屋町を配し、天地は古代絓(織)で、ご当代の好みの色という深緑(私の大好きな色)で締めました。
12月の茶会に使いたいことをお話すると「お電話で聞いておりましたので、なんとか間に合わせます」とのお返事。
心待ちにしておりながらも、慌ただしい日々を過ごしておりましたところ、先週「できました!」というご連絡をいただき、受け取った次第です。
真新しい軸はシミも汚れも無く、それはもう素敵な仕上がりでした。
床に掛けると、仮床だというのに見違えるように部屋の雰囲気が変わります。
鬼佛庵さんも大満足の出来でした(^^)
「初めての表装でこれほどの物が出来るとは」といい意味で期待を裏切れたようです(^^)/
この表装という体験をして感じたことは「表具で他人に褒められるような裂地とまくりの組合せができるようになって、初めて茶人と呼ばれるのだ」と感じました。
宗靜先生は「何百万クラスの着物の組み合わせをしているようで愉しかった」という感想を言ってました(笑)
これぞ茶人の本懐。
茶入の裂地と重ならず、それでいて物語が組めるように考える。大名掛のように絢爛にせず、紙仕上げのようにやすっぽくせず、侘び軸装こそ、職人の技と茶人の感性の融合ですね。
茶人を目指す皆さん、頑張って表具してみませんか?