作務衣で呈茶、作務衣でお茶会へ……という人がいます。
原則としてNGです。
それなら洋服のお洒落着の方がかなりマシです。
一部、風格のある方が着ていても誰も何も言わないというケース(言えないというか、あまりに自然で誰も文句がつけられない)がありますが、そういう特別な方を除いて、絶対にやってはいけないことであったりします。
それは何故かといいますと、作務衣は「作業着」だからなんです。
作務衣はもともとお寺で作務――すなわち禅宗での修行の1つである日常業務(掃除や薪割りなど)を行うために動きやすく改造された服でして、これを現代では「長作務衣」と呼びます。上衣が膝丈まであるものです。
これが戦時中のもんぺに着想を得て、戦後、上衣を腰下あたりまでにして、下穿きをセットにして売り出されたものです。
着替えるのに便利であり、一年を通して着られる作務衣は確かに便利です。
私もお茶会の準備などの間は作務衣でしていたりします。
しかし、これはあくまで「作業着」です。
では、なぜ茶席に相応しくないのか?といいますと、これは日本のもてなしの基本が「相手を迎える側は格の高い召し物を着るべき」としているからです。格の高い召し物を身につけるということが「相手を歓迎している」という意味なんですね。
西洋では迎える側も招かれる側も着る服のグレードを揃える(ドレスコード)というのが一般的ですが、日本ではそうではないということなんです。
ですから、制服として作務衣を選ぶことは「職人」でもないかぎり不自然になります。
もてなしの国日本としてこれぐらいは常識として辨えることが必要ではないでしょうか。