古萩手 井戸 味舌隆司作 銘『梅若』

 

 銘は梅若丸より。

 

 なにわの名工、大阪萩の味舌隆司先生からいただいた井戸の一つ。

 

 近年の白い萩とは違い、古い萩の焼き方で作られた井戸。深い色に落ち着いた竹節高台が梅花皮を引き立てています。

 

 梅若丸というのは、能の「隅田川」に登場する伝説上の少年です。

 京都北白河の吉田少将惟房と斑女(はんにょ)の子で、人買いにさらわれ、武蔵国隅田川畔で病死したといわれ、墨田区向島の木母寺(もくぼじ)境内に梅若塚があります。

 

 父の死にあった12歳の梅若丸は、奥州の知人を頼って下向する途中、人買い男にだまされて、武蔵と下総の境にある隅田川のほとりで病死してしまいます。京都からたずねてきた母はそれを知って悲しみにくれる……という物語で知られ、歌舞伎、浄瑠璃、謡曲にもなっています。

 

 同寺では4月15日を梅若忌として大念仏会を行うので、これに因んだ道具組みというのも面白いかもしれません。

 

 小説は仮名草子『角田川物語』。

 浮世草子として『梅若丸一代記』。

 古浄瑠璃では山本土佐掾の『角田川』。

 近松門左衛門作といわれる浄瑠璃『雙生隅田川』。

 歌舞伎・鶴屋南北作『隅田川花御所染』。

 

 と江戸時代に多くの作品になっています。

 それにしてもちかえもんも書いていたとは!