文化団体、特に漢文を研究する団体に衝撃が走りました。

 
 
 
 私も驚きを隠せませんでした。
 細川幽斎以来、長年細川氏が収集保管してきた大切な蔵書を、四千冊も外国に譲ってしまうとは。
 
 氏には氏のお考えがございましょうが、少々啞然としてしまいました。
 
 茶道では、「道具は私の物ならず」という考え方があります。
 
 自分で買ったとしても、一時的に預かっているだけなんですね。人の一生は短いです。ですが、こうした文物は何百年、何千年と伝えられるものです。ですから、自分は所有者ではなく、管理者であるというのが文化人の共通した価値観でした。
 
 ですから、このニュースを目にしたとき、本当の意味で家長制度の廃止による家意識の崩壊を突きつけられた気がしました。
 
 日本では、鎌倉時代に分割相続が破綻し、以後は家長相続となっていました。これは家産の分散と家の力の喪失を防ぎ、文物の散逸を防いでいました。
 
 ところが、戦後、家長制度は廃止され、分割相続が主流になるにしたがって、家の力は弱まり、家産は目減りし、文物は散逸していきました。
 
 これは文物が自分の所有物であるという非日本的な考え方で育ったが故でしょう。先祖代々受け継いてきた重みを解せず、自分のものという意識が、こうした事態を引き起こしたように思えるのです。
 
 家がなくなる(断絶や離散)などで散逸するならばともかく……残念なことになりました。
 
 月桑庵も継ぐ者が居なければ散逸するのでしょうが、これより先、今よりもさらに稽古道具とて集めるのは大変な世の中になっていきます。
 
 職人の高齢化、後継者不足、職人道具を生産する職人の廃業……道具が手に入らないようになっていくのですから、散逸は避けたいと考えます。
 
 跡継ぎがいないなら、流儀に寄付し、散逸せぬよう、後代に伝えて行くことも視野に入れねばならないのかもしれませんね。
 
 「文物は私の物ならず」
 
 贖えどわれの手にせし文物は
 私(し)の物ならず 後の世のもの 道舜


追記

 知人より、細川護煕氏が寄贈したものが、「江戸後期から昭和の刊本ばかりでオリジナルでは無い」とのこと。ほっと胸を撫でおろしました。

https://culture.sina.cn/.../detail-ihencxtu5057150.d.html...