一 袱紗
袱紗の寸法は、竪九寸五分、横九寸なり。
袱紗の色は男子は紫、(男子40歳以上は茶色を用ひてもよし)女子は緋を用ふ。茶會には、新しきを用ふるが法なり。出し袱紗は色合を撰ばず、又古織物も用ふ。
袱紗のたたみ方
袱紗は、三方に縫目(ぬひめ)あり、一方に縫目なし。縫目なき方を、右にして、前へ折り、(折目向ふとなる。)折目を下に縫目なき一方を向ふにして、更に前へ折る。四つにたゝんだ折目を下にして又前へ折り、折目の方を奥及び下になしばらばらの方を上及び外の方にして懷中す。
出し袱紗は初めは同樣に懷中し、客方より返つた時は、右片手で、長い折目の方を取り、其のまゝばらばらの方を奥及び上にして懷中す。逆勝手の時は、左手で取り右手で懷中す。
腰に下る時は、懷中せる袱紗を左掌上に取り出し二つに擴げ、縫目なき方を、右前にして三角に折り、それを又向ふへ二つに折り、折目を右にし縫目なき方を向ふ側にして、左手で左側帶へ挟(はさ)む。
主人が袱紗を用ふる時に袱紗を扱ふ事を袱紗さばきと言ふ。用ふる時のたゝみ方に眞(しん)・行(ぎよ う)・草(そう)あれども、眞行は、唐物點以上に用ひ、常には用ひず。草の袱紗さばきは帶の左側にさげた袱紗を左手で第一圖に示す如く拇指を上に、四本の指を中にして、上へ二つに折り帶より拔き取り、第二圖の如く、膝の上五六寸の處で、右手の拇指を上にし、四本の指を中へ入れて内側三角の端を右手で持ち、左手を離す。此時第三圖の如く袱紗は竪になる。
第三圖の、下部を、左手の拇指を内側へ、四本を外側にして、右より左へ向けて、持ちて水平になし、第四圖の如くす。
第四圖の如く、持つた袱紗を、正客に遠き側、則ち點前の時は、左膝、道具拝見の時は、右膝(逆勝手の時は此反對)の上にて、張つた兩手を少しく緩(ゆる)め、急に緊張して、袱紗を塵打ちすべし。更に右手を上げ、袱紗を竪にして、左手を離し、第五圖の如く、左手で袱紗の中央を、拇指を内側にして持ち、四指を折り、其まゝにて、拇指を拔いて、三角の處を、拇指にて折返せば第六圖の形となる。
左拇指を中心にして二つに折り、左拇指を其まゝにして、右手の拇指を上にし、四指でそれを更に下へ二つに折り、又其餘りを、左手四指で右へ折返す。第七圖の如し。左拇指を拔き、袱紗を用ひて、釜の蓋を取る場合は、第七圖の如く、たゝんだ袱紗を左手を放して、右手で拇指を上にして、横に蓋上の摘(つまみ)の上へのせ右手を一旦放して、右手で拇指を上にして、横に蓋上の摘の上へのせ右手を一旦放して、上より竪に摘みを持つて、蓋置へ置き、其まま拇指を上にして、右横より袱紗を取り、たたんだままにて、建水の後ろへ置く、中蓋又茶入の蓋を拭く時は、兩手で更に之を下へ二つに折り、右手へ持つて蓋を拭くべし。
たたんだ袱紗を、再び下げる時は、右手で左掌にて、右より左へ打返(うちかへ)し、上の三角の端を、拇指を上にして摘み、引上げて竪になし、左手拇指を外側にして、下の三角の端を摘み、水平になして、前より向ふへ二つに折れば、元の三角の形となる。其上の端を左手で、拇指を内側にして持ちて左へ下げる。

又逆勝手の時は、右へ下げた袱紗を、先と反對に、右手の拇指を上にし四指を中にして、上へ二つに折るやうにして、帶より拔き取り、左掌へ拇指を下に打返せば第八圖の「イ」の先は右へ向くべし。此上の分を拇指を、上にして取れば前の第三圖の如き形となり、續いて前と同樣の扱ひをなす。

四方(よほう)さばきと言ふは、普通濃茶の時になす所作にて、先の第二圖の場合に外側の、三角のわなへ、右の食指(ひとさしゆび)を入れ、第九圖の如く拇指を上にして、向ふ側を持ちて袱紗を開き、左手で、右手と同じく拇指を内側にして、左端を持つ、第九圖の如し、第四圖の場合のやうに袱紗を塵打ちし、右手で握り込んで、左手の場所を持つて後ち、今迄持てる部分を放し、此度(このたび)は拂はず、右左右と、三度少し下方へ引張るやうにして延ばし、更に同樣にして、第三の隅へ移り此度は始めの如く塵打ちし、次に第四の隅は、第三の隅を放さず、持つたまま第二の如く延ばし、第四の隅を放せば、袱紗は自ら、第四圖と同樣、三角の形となる。此時更に、第四圖の如く塵打ちす。其後のたたみ方は、前の通り。之を四方さばきと言ふ。逆勝手の時は普通の袱紗さばきと同樣に、右手で取り、左掌へ打返して後は、第九圖以下、前述と同樣の、扱ひをなすべし。
出袱紗
出袱紗は右手で懷中より取出し、左手であしらひ、長い折目を茶碗の方へ、短い折目を、客へ向け、右手で茶碗の右側へ出す。
逆勝手の時は、ばらばらの方を、茶碗の方へ、短い折目を、客へ向け、左手で茶碗の左側へ出す。
客方よりは、ばらばらの方を茶碗の方へ、短い折目を主人へ向け、客より見て、茶碗の下座(げざ)、左側へ返す。又逆勝手の時は、長い折目を茶碗の方へ、短い折目を、主人へ向け、茶碗の下座、右側へ返す。
こちらにある袱紗とは帛紗のことかと思います。
帛紗と袱紗の違いは簡単で大きさの違いです。
帛は絹のこと、袱は衣を伏(たたむ)という意味で大きなものを指します。大きな物を袱紗、小さなものは帛紗です。茶道のものは「帛紗」と箱書されていることが多いですが、流派によっては袱紗と書く流派や、常用漢字の代替ルールに従って服紗と書く流派もありますが、ここでは茶道用の小さなものという意味で原文とは異なる「帛紗」と書かせていただきます。
帛紗には
・出し帛紗
・使い帛紗
・小帛紗(古帛紗)
があります。
まずは寸法。
竪(縦)は九寸五分(287.878mm)、横は九寸(272.727mm)。微妙に正方形ではないという。
帛紗の色は男性が紫で、女性は緋。ただし、四十歳以上の男性は茶色を用いてもよいと描かれています。
この辺りは当流と大分違いますね。
当流では紫帛紗とは「教授を取った人」という意味があります。これは男女共通。
また、男性は紺か緑、女性は朱が基本です。
表千家は出し帛紗。
出し袱紗は道具の仕覆と重ねないようにするのが基本だと思います。
当流では出帛紗は、唐物や名物を用いる真の点前(いわゆる奥秘以上)でしか使わないと聞いております。
普段は小帛紗。裏千家では「古帛紗」と書かれるそうです。
さて、帛紗に戻りましょう。
帛紗は、一枚の布を折り、三方を縫って仕上げます。
この縫い目のないところを「輪」または「わさ」と言います。
折ったところが「折り目」です。
折り方は何処の流派もあまり変わらないと思うんですがどうでしょう?
三角持ちをしたときは、輪差が左手の自分側。
そうすると腰につけるときは輪差が外側になります。
三角の半分にして、高さの三分の一が帯に挟む部分になります。
男性は袴紐にくぐらせて【帯に挟む】ようにします。
三角形がピンッと立ってる人が多いんですが、何でしょうね?
あくまでここは現代語訳ではなく「解説」ですので、あまり詳しくは書きません。
帛紗捌きには「真・行・草」があることが明記されており、真行は唐物点前以上に用いるとあります。
ここでは通常の草の捌きが示されています。
四方捌きにおいては、当流とは違い、最後に三角にしての塵打ちがあります。
当流の場合は、緩めてピンッとするだけで、これが四方の塵打ちになり、四回塵打ちしますが、凌雲帳では一回目と三回目に塵打ちし、二回目、四回目は払わず、最後に三角にしての塵打ちがあります。
これも面白い違いです。
出帛紗の置き方も大分違いますね。
茶盌の右に置くときは同じですが、茶盌の左に置くときは当流だと折り目が内側になり、両雲長では折り目を外側になります。