巷には、茶道で着る和服についてあれこれ書いているブログがありますが、きちんと基本に立ち返ってみたいと思います。
茶道の根幹には「着物の規矩はない」というのが本来の茶道のあり方です。というのは、そもそも「礼服というものは法律で定められるもの」であるということがあるからです。
古くは養老令によって、江戸時代は法度によって、新しくは明治の服装令によって定められました。これ以後は日本の服装令は改められてませんのでこれに従います。
つまり、時代の流れによって、その時代ごとの「礼服であればよい」というのが「茶会の着物の正しい答え」です。
ココで言う礼服というものは、明治時代に定められた、正礼装・準礼装・略礼装の三つで、茶会は政府が催す公式なものではないので、略礼装がふさわしいということになります。
では、茶会に赴くにはどんな略礼装がいいのでしょうか。
散々、当ブログでは「色無地一つ紋」か「江戸小紋五役の一つ紋」と言っておりますが、なぜそうなのでしょうか。
それも過去に書いておりますが「召し物は 茶花道具と 喧嘩せず」と詠んだ通りなのです。
となると、疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。
そう「訪問着」はどうなのよ?という問題です。
現代ですと、「訪問着は略礼装としてもお洒落着としても着られるから便利」と呉服屋さんが言っておりまして、お求めになり仕立てた方も多いと思います。
でもですね、訪問着というのは本来「三つ紋を入れて正装扱い」になるものなんです。三越さんが、明治後期に開発した新しい着物なんですね。流行ったのは大正期なので、大正期のものと勘違いしている方も多いです。
三つ紋を入れて正装扱いということは、一つ紋を入れて準礼装扱いであり、無紋で略礼装扱いということになりますが、これは「として扱う」という言葉が付きます。
つまり「本来はそうではないものをそのように扱うことにした」という「本来の礼服のあり方ではない」という点に注意が必要です。
また、訪問着の柄は「道具と重なる事が多い」ことも問題です。
ですから、正客には「訪問着の女性は上げない」ということになります。
道具組みというのは、基本的に「同じ柄を重ねない」ことになっています。ところが、訪問着ではまず間違いなく、重なります。吉祥柄は茶道具の柄としてもポピュラーなものだからです。ましてや季節の花が描かれたものなどは、茶花と重なりまして、和服のルールである「生花を観に行くのにその柄の召し物を避ける」というものからも外れます。
このため、どんなに華やかで高価で上等であっても、訪問着の方を正客に上げるのは「不自然になる」ということを覚えましょう。
ですので、茶道を習われる方は「色無地一つ紋」を持っていることが大事だと何度も何度も口が酸っぱくなるほど書かせていただいております。
したがって、「小紋は普段着」ですから先生のお宅で行われる「稽古茶会」や「稽古茶事」までで、寺社などや区や市などの自治体の文化会館などの茶室では「略礼装である色無地一つ紋または江戸小紋五役の一つ紋以上」が相応しいといえます。
え? 着物を着る人が少なくなった現代でそんな厳しいことを言っていたら、茶道をする人が少なくなってしまう??
えーっと、茶道の人口を増やすのは「正しく継承するため」ではないのでしょうか?
間違ったことを継承させて、そこに意味はあるんでしょうか。
前にも語りましたが、「野球チームに入ってユニフォームを着ない人はいません」よね。
茶道をおやりになるのなら「色無地一つ紋以上の着物をリサイクルでもいいから一枚は持っていることが良い」と思いますが如何ですか?
また、「先生が小紋でいいと言った」と言う方がいますが「本当に先生はそれでいいと思って言ったでしょうか?」と反問したいですね。
それは「無理して着物を買うことはないわよ」という先生の優しさではないでしょうか。小紋を着た弟子を連れていたら、他の先生から「あら、あのお弟子さん小紋着てるわよ」と思われるは必至です。
話が逸れました。
正客に就いていただく女性は
①定め小紋に一つ紋
②定め小紋
③江戸小紋五役に一つ紋
④色無地一つ紋
の順に想定するとよいでしょう。
あとは年齢や、所作をみて茶道をなさっているかどうかもありますが、今回は「恰好からみる正客の選び方」ですので、着物のことだけとしておきます。
是非、ご参考になさってください♪