年に数度、他流の席を回らせていただいておりますが、大寄せの茶会で泳ぐように渡り歩き、たくさんの席を回られている方がいらっしゃいます。

「●席まわったわ!」

 という声はまだいいものの、

「×席回れたから、元が取れたわ!」

 という声をお聞きすると「茶道をなんだと思っているのだろう?」なんてどんよりした気持ちになってしまいます。

 当流の先達に私は「待つのもお茶の内」と教わりまして以来、並んで待つことにも「意義」を見出している次第です。静かに坐り、道具と菓子と点前とを想像し、どんなお話がされるかを愉しみにしていく時間というのは何物にも代えがたい、貴重な時間のように思われます。

 昨今はとかく「効率的に回す=席の回転率を上げる」ことを目指して、引換券などを早々に配り終えてしまう(私も茶名披露の際には手違いで下足番が全部早々に配り終えてしまっていましたが)ということは果たして良いのでしょうか。

 茶道には「名残」などもありますし、とかく「時間が掛かる」ものです。席入りや拝見を省略することの多い大寄せでは、道具をじっくり見る時間はあまりありません。ですから、客はさっと下がらず、床や点前座ににじり寄り、じっくり見てから帰ることが多い訳です。

 これを早々にお帰りいただき、次の客を入れるというのでは「風情がない」と思うのは私だけでしょうか。

 引換券などを複数の席の分いただいて、待たずに効率よく入るのも一つの手段ではありますが、じっくりと景を見聞し、相伴客と気軽に話し、ゆったりと茶を待つ方が、茶の湯らしいような気がいたします。

 さて、あなたはどちらが御好みですか?