日曜日は「お茶会へ行こう」でした♪
 お客様は私の一番弟子(Kさん)と二番弟子(Tさん母)、母の弟子(Tさん娘)と私がカンボジアでお世話になっておりHさん、それと今回初めていらっしゃったTさまの五名さま。

 掛軸は中西研堂書「寒梅著花春酒香(寒梅花を著けしや春酒香る)」という七言絶句の一行。
 この詩は陳培脉という清代の国学者で江南長洲の人の「相逢行贈宋六木天」という漢詩の中の一節です。もとの詩は王維の雑詩三首のうちの二首目「寒梅著花未(寒梅花を著けしや未だしや)」という五言絶句を元にしています。

 君自故郷来 君 故郷より来たる
 應知故郷事 應(まさ)に故郷の事を知る
 来日綺窓前 来たる日 綺窓の前
 寒梅著花未 寒梅 花を著(つ)けしや未だしや

 「あなたは故郷からきたのだから、当然故郷のことを知っていますね。ここへやってくる時には、美しい飾りのある妻の部屋の窓の前にある早咲きの梅は、花をつけていただだろうか。それともまだだろうか」

 直接、妻の状況を尋ねず、窓の外にあった梅の様子を尋ねることで、妻へのいたわりと思いを詠った詩です。

 これを転じて読まれた「寒梅著花春酒香」は、寒梅が花を咲かせれば、春の花見となって一面に酒の香が漂うさまを詠っています。茶道では野点の春ではなく、立夏を過ぎたころに行われる初夏の催しですので(春は外がまだ冷えることと、風が強く火が散りやすく、道具が風に煽られて倒れて傷つきやすくなるとのことからあまり好まれません)、その野趣を思い浮かべてもらうために「芝点前」をするので、花見を連想していただる御軸が相応しかろうと掛けさせていただきました。丁度花見の最後ということもありますので。

 ちなみに支那では花見といえば「桜」ではなく「梅」。
 日本でも奈良時代までは桜ではなく梅を観賞していたそうですので、「時の流れ」も感じていただけたらという意図もありました。

 花入は馬場祥輔作備前旅枕花入。
 残念ながらこれは入が入ってしまっているのでいずれ金接ぎしないといけないのですが、使用に耐えるので用いてみました。旅枕花入とはその通り旅人が持ち歩いた枕の形をした花入で少々背がありながら楕円形になっていて転がりにくくなっており、中央が少しくぼんだ形をしています。花入れですのでこれを立てた形で用います。
 お弟子さんに畳の雑巾がけをお願いしたのですが、「先生、水が漏ってます!」と言われみると、備前の花入でした。ので「あぁ、備前は漏っていいんですよ」と教えました。本来は水受けをつけて荘るべきなのですが、仮床ですし、そのままにしておいたのがよくなかったですかね(笑)

 備前は花入れでも濡らして使います。
 最近は内側に防水加工をして使うことが多いそうですが、私はあまり好みません。備前はたっぷり水を吸わせて潤んだぐらいがちょうどいいとおもっています。

 花は木苺と河原撫子(?)。
 我が家に咲いている撫子は強いピンクなのに対して白く淡いピンクの入った可憐な感じのする撫子でした。
 撫子は仲春から初冬まで咲く息の長い野草なので、茶花には向いていますね♪

 木苺なんていいのかな?なんて思いながらも、無いよりはいいね……ということで採用。若干活けにくい枝振りでした^^;A

 さて、道具立て。
 ここは結構悩んだのですが、基本的に去年を踏襲しようということで、棚は旅箪笥に決まっていました。
 去年は芝点てにしなかったので、今年は芝点てにしよう!と。旅箪笥利休好は炉にしか使えないお棚で、冬~春に掛けてのものになります。芝点てというと「野点」を思い浮かべられる方が多いのですが、野点は基本的に「風炉」ですので、炉の旅箪笥には相応しくありません。では何故芝点てなのか?というと「野点の野趣を連想してもらうためのものである」と考えられる訳です。

 水指も昨年使った織部四方水指。
 これに平安尚泉作の朝鮮唐津釉茶盌を合わせました。
 この茶盌は母が買ったものの中で最も私が気に入っている茶盌の一つで、女性らしい華やかなものが好きな母には珍しく落ち着いた風情のある朝鮮唐津釉が白い器膚の上側にだけ掛かっているという素敵な茶盌です。
 茶杓は染竹芽節。

 建水は古瀬堯三作の内釉にしました。
 外側が焼締で内側に赤膚山の白釉がたっぷりと施されているというものです。瀧川恵美子さんの内釉織部も好きでしたがこういう建水って本当に少ないですよねぇ~。

 蓋置は田中教克作白釉千切蓋置。
 酒杯を二つ組み合わせたような形に、一番弟子がすかさず「酒杯を二つくっつけたような感じですね」と一言。膝を打ちたくなりました♪

 菓子器は、青漆内朱高坏(而妙斎宗員在判金写)と、銀仕立四方盆。
 菓子は、和三盆と、寒天となぜかロイズのチョコレート。和三盆だけでよかった気がするのですけれど(ここは母の担当)。

 席入、喫茶、茶盌拝見、茶器拝見と席退をして、Hさんに袴を着けてみてもらったりといろいろいたしました♪
 その後は、一番弟子と二番弟子でお稽古。
 二番弟子はまだまだ見学です(帛紗捌きをさせましたが)。
 一番弟子にも早く平点前を覚えてもらって、お茶会へ行こうを手伝っていただきませんと^^;A

 さて、来月からは、三講座制。
 飯後の茶事(菓子の茶事)に似た形式で行います(炭点前はありませんが)。

 是非、お気軽にお越しください♪