毎年二月下旬に催される流茶会へ行ってきました♪
 実に六年ぶりになるフリーでの流茶会参加です^^

 去年は自分の茶名披露、その前は姉弟子の茶名披露、その前は数年お手伝いをさせていただいていたので、ずーっと回れていなかったんですね(笑)
 あ、一回だけ、大連から来た研修生を案内しましたっけ(その時もお運びしましたけど)。

 今回入りました席は

 ・明々軒
 ・知足軒絵馬席
 ・真の間
 ・竜庵

 の四席です。

 明々軒は、佐野の法雲寺の鷲見和尚ほか二名の赤坂宗匠社中のお席で、立礼でした。
 「歩々是道場」の掛軸のお話は、なるほど、「是道場」でした。
 東は、大宰府藤丸の清香殿という卵の半生菓子。こちらは大徳寺納豆が入っておりまして、味噌っぽい塩味が甘みを引き立てる柔らかなお菓子でした。
 久々に薄茶席で上生菓子ではないものを頂きました。
 この清香殿は千利休400年忌茶会に大徳寺納豆を賞味とし創製した由緒あるお菓子です。
 道具立ては小風炉が変わっておりまして、斑文様の紫銅小風炉で、窓が重ね菱、釜は天明釜でした。少々変わった立礼卓でしたが、写真も名前も聞きそびれました(笑) 違い立礼卓とでも言いましょうか、建水を円椅(えんい|円座になった立礼用の椅子)に置かれていて「こういう崩しも面白いなぁ」と思いました。あれは誰かの御好みかな?
 水指は象嵌青瓷にも似た蔦文の水指。
 主茶盌は楽焼の一種でありながら、萩の風合いのあるお茶盌。まるでお茶だけを持っているかのような軽さのあるものでした。
 和尚がおもしろおかしくその入手経緯をお話しください、一期一会の一座建立。さすが鷲見和尚。

 鷲見和尚は私の母と同じ年に教授を取られた方で、教授になって三十年。日々研鑽を重ねた方らしく、正客として席に就かれても愉しくお話しくださいまして、非常に好きな方なんです。勿体なくも正客に上がらせていただきましたが、若輩者が大変失礼いたしました。

 素晴らしかったのは待合の枯れた古木に「喫茶去」の扇子荘り。近くでみつけられて、さっと荘ったそうですが、日ごろからさまざまなところに目を向けておいででないとこうはいかないでしょう。いやぁ、さすが鷲見和尚です。あれ欲しいなぁ(爆)
 待合の話などを振れなかったので、私の正客っぷりもまだまだですね。


 知足軒絵馬席は、師匠(笠井宗匠)の姉弟子だった高塚宗匠の跡を継がれた小笠原宗匠のお席。
 お棚は紹鴎棚で、川瀬表完作。最初に手ほどきを受けた先生から還暦のお祝いにいただいた青瓷花入を天板に飾り、平棗に青瓷の捻梅平水指。こちらは萩のお茶盌で、梅花皮が落ち着いた風情でなかなかなお茶盌でした。
 こちらは割合知り合いのお席でしたので、らっくり正客をさせていただきました。
 御軸は「道」。古稀の席主と同い年のお弟子さんが幾人かいらっしゃるとのことで、「茶道」と「人生」を道に見立てた御軸だそうです。
 本当におめでとうございました。


 真の間は、若宗匠(会長)のお席で、青瓷皆具。侘びた二筋の金が、すっきりとしていながらも整然と佇む姿に、襟を正されます。
 御軸は「不即不離」。若宗匠は常々「茶道は浅く長く」と仰る方でしたので「なるほど、若宗匠らしい」と一人内心ニヤニヤしちゃいました^^
 半東は松村先生で、顔見知りでしたので、真の間ではありましたが、らっくり正客をさせていただきました。是又道場(笑)
 不即不離の字は、非常に角ばって、なかなか柔らかく書くのが難しい字であるにも関わらず、円相のごとき柔らかでいて、力強い「付かず離れず」という意を体現した書でありました。

 見どころはなんとも風変りな「ステンレス製の釜」。ステンレス鋼の一枚板から造らせた、共蓋の釜した。摘みを触らせていただきましたが、全く熱を持たず、錆びない・水乾きが好いとのことで、恐らく若宗匠の御好みなのではないかと。
 一見南鐐……じゃないな?と思わせる風情ですが、青瓷皆具を邪魔せず、引きたてるほどの鈍い輝きに、一同感心した次第です。さすが若宗匠!


 真の間を出まして、最終席に飛び込んだのが竜庵。
 こちらは家元木曜会の主催。
 お棚は三角棚で、一昨年、姉弟子の披露で使った部屋です。点前畳と客畳の間に板のあるお席で躙り口がありまして、大変面白い席です。
 ただし、御正客の席からは「点前も道具も見えない」というお席なので、御正客はお断りしたんですが、結局、正客をする羽目に。是又々道場。
 三角棚というのは天板が三角形(端切)になっている二重棚で、好文棚にも似ていますが、中板と地板は正方形ですので、趣は違いますが、扱いはほぼ同じです。通い口用の結界にもお家紋の三つ鱗が入っており、浮かしの三角棚に対して、透かしの結界という組合せは絶妙でした。
 私が欲しがっている加藤五陶の黄瀬戸水指に似たものが使われていて(私が欲しいのは写しでしたので、本歌ではないかと思いますが)、これまた素晴らしいものでした。蓋置は色絵(赤絵)の墨台。珍しかったのが塗建水で、千筋や糸目とはまた違った、沈金で、これもまた見事。
 御軸は、満坐万古春。まさに満坐は古き昔よりの付き合いのある人々の顔がほころんで春となるという風情でした。


 正客だらけの流茶会ではありましたが、御弟子さん二人をつれ、宗靜先生と息子(実は六歳の息子が総て次客というw)と回れた愉しい一日でした。