菓子器の高坏(たかつき)は、干菓子器とされます。

(1)黒塗内朱松鶴金蒔絵高坏

黒塗内朱松鶴金蒔絵高坏


(2)青漆内朱高坏

青漆内朱高坏岡本漆園作而妙斎宗員在判写

 これはどちらも高坏です。
 一般的には(1)の高坏をいいますが、背の低い高坏もあるんだと知ったのが(2)です。
 で、我が家には、(2)の高さのある赤膚山焼の菓子器があります。

(3)赤膚山焼松田正柏作刷毛目高坏

赤膚山焼刷毛目高坏正松作

 これは祖父の遺品で、骨董好きだった祖父のものを母が貰ってきた唯一のものだそうです。残念ながら箱などはないのですが、陶印などから、松田正柏作の赤膚山焼(赤膚焼ではない)と判明しました。

 (2)と(3)は(1)ほどの高さはないものの、高坏の所以とされる長い高台がありますので、やはり高坏に分類されます。

 今まで、陶器は主に主菓子に用いられると思っていたのですが、いろいろ調べる内に「陶器でも干菓子を出している」ことを知りました(どんだけ知識がないんだ?って話ですね)。お恥ずかしい話ですが、やはり習っているだけではだめで、きちんと学ばないといけないんだな……と改めて思った次第です。

 この高坏の存在や、過去の経緯から考えるに、陶器の菓子器は漆器の写しというのは間違いがないようです。となると、この高坏やはり干菓子器ということになります。

 時代を超えて、知識を教えてくれる骨董。
 古物は怖いのであまり高い物は買わないようにしていますが、珍しいもの・形の変わったものは手に入れておくべきかもしれません。