ゲーミフィケーションという言葉を御存知でしょうか。
 ゲーミフィケーションとは「ゲームデザイン手法や仕組みを用いて問題の解決やユーザー契約などを獲得する」ことです。

 これは人間が持つ『16の基本的な欲求』というものが下地になっています。


    力:他人を支配したいという欲求
    独立:人に頼らず自力でやりたいという欲求
    好奇心:知識を得たいという欲求
    承認:人に認められたいという欲求
    秩序:ものごとをきちんとしたいという欲求
    貯蔵:ものを集めたいという欲求
    誇り:人としての誇りを求める欲求
    理想:社会正義を追求したいという欲求
    交流:人と触れあいたいという欲求
    家族:自分の子供を育てたいという欲求
    地位:名声を得たいという欲求
    競争:競争したい、仕返ししたいという欲求
    ロマンス:セックスや美しいものを求める欲求
    食:ものを食べたいという欲求
    運動:体を動かしたいという欲求
    安心:心穏やかでいたいという欲求


 これらを一つずつ茶道に当てはめてみましょう。
 すべてに通じているとは限りませんが、丹念に検証してみたいと思います。

1)力:他人を支配
 純粋に力というよりも、権力というものに近いかもしれません。
 流派の中である程度の地位を持つ・影響力を持つということはある意味で支配に繋がります。しかし、これは最も弱いものであるような気もします。


2)独立:人に頼らず自力でやりたいという欲求
 これは基本的に茶道が一人ではできないが、一人ですべてできるようになっていることを前提とするというところに当てはまるのではないでしょうか。
 点前、水屋、炭、灰、懐石、菓子……これらのスキルが万遍なくある一定上になっていることが教授者の資格であるといえば、その通りです。


3)好奇心:知識を得たいという欲求
 茶道に歴史と知識はつきものですから、いまさら説明することはありませんね。


4)承認:人に認められたいという欲求
 茶道に於ける承認欲求を満たすものが免許です。免状と許状。
 許状は稽古を許される書状、免状はその稽古を習得した証。これほど明確な形での承認欲求だったのですね。


5)秩序:ものごとをきちんとしたいという欲求
 礼法というものを軸に、規矩性などもここに当てはまります。道具の規則性や礼儀作法の規則性といったものは、この秩序欲求に根差すものだった訳ですね。


6)貯蔵:ものを集めたいという欲求
 これはもはや数奇という言葉で集約されていますね。茶道具は数限りないとも言われますが、これを集めることが数奇者の数奇者たる所以とすれば……まぁ、すさまじい限りです。


7)誇り:人としての誇りを求める欲求
 歴史ある茶道をならっている、着付けが一人でできる、日本文化というものに携わっているということは必然的に誇りを身に付けます。私なんかは埃高き男だったりしますが(違)


8)理想:社会正義を追求したいという欲求
 これはちょっと捉えにくいですが、自分の社中を持つことで理想を具現化しようとすることはできる……という意味においては、満たされるものがあるのかもしれません。


9)交流:人と触れあいたいという欲求
 人と触れ合わない茶道などない……と考えたら、解りやすいですよね。茶道の本質は「もてなし」ですから、必ず相手が必要です。となると……人と触れ合う欲求はかなり満たされると思います♪


10)家族:自分の子供を育てたいという欲求
 家族というのは、ある意味で師弟関係に当てはまります。師は弟子を育成します。作法や点前の流れといったものは、繰り返し繰り返し教えられ、間違いを指摘され成長していきます。また、師弟関係は血族関係に例えられる(師匠を師父と言ったり、兄姉弟子を師兄・師姐、弟妹弟子を師妹・師弟と言うのが解りやすいでしょうか)ことからもこれは物凄く強いと思います。


11)地位:名声を得たいという欲求
 1)の権力欲求や承認欲求とともにその資格を得ることである程度の名声を得ることができます。またその世界で影響力を持ったり、認められることで名声を得ることができます。


12)競争:競争したい、仕返ししたいという欲求
 本来無縁でなければならないところではありますが、ありますね。御家騒動とか派閥争いなんかがおこるのはこれが理由なんでしょうねぇ……。やだやだ。


13)ロマンス:セックスや美しいものを求める欲求
 これにはファッション(和服)や道具といったものが含まれます。何を美とするか、何を好いとするかはまた別問題ですが、茶道に附随する道具や召物にたくさんありますから、これも満たされます。


14)食:ものを食べたいという欲求
 和菓子や懐石があります。より美味しいものを求めて東奔西走……満たされてますなぁ。


15)運動:体を動かしたいという欲求
 これも点前をしたくなるという点において表現されていますでしょうか。
 指導する側になるのはこの自分の運動欲求との闘いな気がします(笑)


16)安心:心穏やかでいたいという欲求
 茶道のおもてなしの心は、ここに根差すのかもしれません。
 穏やかに和やかに、笑顔の溢れる茶席を目指すのはそのためかもしれません。

 こうしてみると、非常に多くの点で、人間の基本的欲求を満たしているような気がしてきました。では、なぜ逆に茶道に関わる人が減っているのでしょうか。

 それは茶道が閉鎖性が高いという点もありますが、百家争鳴であり、独立性が高く協調性に欠けている点を私は指摘したいと思います。また、「自分の茶」を追究するあまりに普遍性や未経験者に門戸を開くという点を怠っているのではないか?という感じがしました。

 もちろん、そういう努力をされている方もいらっしゃいます。
 しかし、どこかしらお高くとまっていませんか?  自分ではハードルを下げたつもりになっているかもしれませんが、相手からは垣根の向こう側になっていませんか?

 私ももう一度振り返って、もっと未経験者が来て愉しい「お茶会へ行こう」を開いて行きたいと思います!