前にも掲載したことがありますが、もうちょっと考察なども交えて、再考察してみましょう。
 今度は二十四節気ではなく、旧暦で。

五月の風炉|前切風炉<旧暦四月>

 風炉は、釜と共に用いますが、炉から切り替えて用いる際、最初に使うのが「前切風炉」です。まだ、立夏といってもそれほど暑くなく、炉の位置と違い最も奥に置きますので、これで大丈夫です。前欠(まえかけ)風炉とも言います。

 前切風炉は原則「土風炉」ですが、江戸以降、唐銅の写しや鉄の写しが作られています。

 利休形面取風炉(こちらは大小あるそうです)。
 道安風炉
 紅鉢風炉
 など

 この時期は、火が通りやすいよう、細身の筒釜や肩衝釜、棗釜などがいいかなぁ?などと愚考してみたり。


六月の風炉|眉風炉<旧暦五月>

 次が「眉風炉」。
 流儀によっては猛暑の時期に使うところもあるようですが、逆に猛暑の際には「切合風炉」の方が相応しいので、その一段階前として眉風呂を用います。これは、「透木風炉」の一つ前として用いるのいいでしょう。紹鷗形と利休形があり、一般的な眉風炉はすべて利休形です。こちらも材質は「土風炉」になります。もともとは透木で用いられていたようですが、五徳が用いられるにしたがって、透木ではない用い方が主流になったようです。

 利休形眉風炉
 紹鴎風炉

 眉風炉には細身の釜が似合うと思うのは私だけでしょうか。


七月の風炉|透木風炉<旧暦六月>

 次が「透木風炉」。
 前切風炉や眉風炉と違い、五徳を用いない茶道初期に用いられた風炉です。別名「火鉢」。眉風呂との違いは、窓がないことで、完全に火鉢形になっていることです……というか、火鉢なんです(笑)
 釜を直接火鉢に載せず、透木というものを挟んで釜を掛けます。
 でないと、中に空気を送り込めず、火が消えてしまいますので^^

 透木風炉は「鳳凰風炉」が有名です。
 鳳凰風炉には富士釜を合せるのが一般的ですが、透木釜にはさまざまな種類がありますので、愉しみにするのも一興です。
 眉風炉を透木として用いる趣向もあります。
 透木風炉は、現在火鉢として出回っており、唐銅が多いように感じます。


八月の風炉|切合風炉<旧暦七月>

 さて、次が「切合風炉」。
 前切風炉や透木風炉と違い、熱が外に逃げにくい構造になっている唐銅のものを用います。切掛風炉と呼ぶ場合もありますが、いろいろ調べていくと「切掛」は釜、「切合」が風炉のようです。

 一般的には朝鮮風炉を用いることが多いです。これ以後は、炉まで原則切合風炉を用います。朝鮮風炉と鬼面風炉、琉球風炉を持っている場合、朝鮮風炉⇒鬼面風炉⇒琉球風炉と使うのがよいと考えています。

 ここまで来ると、実は秋の風炉といえるかもしれません。
 まだまだ、暑さが残る残暑から処暑にかけて、この切合風炉が最適です。
 切合風炉は、風炉によって何の釜を用いるかが基本的には決まっています。
 朝鮮風炉はが真形釜、鬼面風炉が平丸釜、琉球風炉が田口釜です。


九月の風炉|鉄風炉<旧暦八月>

 ここでなぜか、材質の名前になりましたが、何故なんでしょうね。
 前の考察で、土風炉⇒唐銅風炉⇒鉄風炉が、土風炉の唐銅写しが多くなったからではないか?ということを言いましたが、本当にそう考える以外、ないかなぁ……と。

 実は、旧暦八月は彼岸を迎えるため、朝夕の冷え込みが始まります。狂い咲きのような昼間の暑さが引くまでは、唐銅の風炉がいいのではないか?と思ったりします。個人的には、鉄の琉球風炉がここで用いたいところです。ですが、後の窶れのことも考えると、やはり鉄の鬼面風炉でしょうか。


十月の風炉|窶れ風炉・板風炉<旧暦九月>

 名残と呼ばれる時期には、より侘びたものがよいとされ、鉄風炉が崩れた「窶(やつれ)風炉」などの時期となります。窶れ風炉は「欠(かけ)風炉」または「破(やぶれ)風炉」などとも呼ばれます。また、板風炉と呼ばれるものを用いるのが相応しい季節です。

 窶れ風炉には雲龍釜などが似合ったり、釜の取り合わせが広がる時期でもあります。




 これらの風炉の時期は絶対ではありませんし、ウチなどでは今まで唐銅鬼面風炉しかありませんでしたから、ずっとそれで通してきました(来年からは風炉が三つに増えましたので、いろいろやれますけれど)。

 茶道をはじめて最初に買う風炉は、鬼面風炉がよいとされます。
 これは、炉がない家では、一年を通して風炉を用いる訳ですが、一年を通して用いる風炉は鬼面風炉とされているからです(個人的に愉しむ分にはほかのものでもよいかと思いますが、正式な茶会を開くにはやはり難しいかと)。

 炉が元々あったり、炉を切ることができるならば、朝鮮風炉がよいともいえます。