はじめまして、映画屋ケンチャンです。
今日から、映画監督をめざしてアメリカに来てからの十六年間の思い出や、これからの出来事を、映画現場だけでのことだけではなく、留学時期のこと(随分、昔のことですが、、、)、ビザのこと、アメリカでのデートのことなど体験談を交えて、すこしづつ書いてみたいと思います。
何故今更という感じはしますが、たまたま弟の嫁さんが書く姪の子育て日記をアメーバのブログで読んでいるうちに、自分も書いてみるかなとはじめてみることにしました。
また、遠くはなれてNYで、一人生活していると、どこかでブログを通して日本の方達と繋がりたいという寂しい思いもあるのでしょう。
三日坊主として悪名高い私ではありますが、頑張りますのでよろしく。

せっかくオスカーが、終わったところなので、オスカーに作品賞や監督賞にノミネートされたプレシャスの撮影現場について話しましょう。

僕は、今現在、映画の照明屋として飯を食べさせていただいてます。 僕が、この映画に、呼ばれたのは、映画撮影が始まって二週間してからでした。 僕は、ちょうど、他の映画撮影をピッバーグで終え、帰って来たときでした。 プロデューサの話によると、監督さんとカメラマンさんの折があわないため、カメラマンと照明を入れ替えるので、仕事をやってくれないかということでした。

なるほど、これは、監督さんにあわせるのが大変だなと思ったのは、現場の下見をした時です。
監督は、リー・ダニエルという監督さんですが、彼は、典型的なゲイのドラマクゥイーンです。 
現場の下見にいって聞いた彼の第一声は、
『ドミニク、ドミニク。 どこにいるの? 私の脚本は、どこ? 私の側に、いなきゃだめでしょ。』
と叫びまくる声でした。 ちなみに、彼は、アシスタントであるドミニクに、二分前ほどに、コーヒーを買ってくるように頼んだばかりなのです。
いやはや、これは、どうなるのかとおもいましたが、案の定、撮影が始まると、どたばたの多いこと。

ある日、こんなことがありました。

その日のスケジュールは、外で、簡単な撮影を二時間程、残りは、学校内での撮影です。
新しいカメラマンさんは、外での撮影は、照明を使わずにやるので、先に、学校にいって、おおまかな照明を作っておいてくれないかということでした。

ちなみに新しいカメラマンは、イギリス人のアンドリュー・ダン。 ヒッチ(最後の恋の始め方)や、ボディガードを撮ったカメラマンで、素晴らしい人間性と才能を持った方です。
彼でなければ、仕事をやめていたかもしれません。

さて、僕は、一人の照明助手を後に残して、先に学校にむかいました。 照明もあて終わり、後は、撮影本隊の到着を待つばかり、、、 三時間が経ち、四時間が経ち、、、六時間が経ち、、、まだ、撮影本隊は、現れません。

もうこれ以上、コーヒーを飲めなくなった僕は、現場に残した助手の電話をしました。

「一体、どうしてるんだい。」
「いや、あと三時間は、そっちにはいけそうもないね。 リハーサルの後、監督が、突然、テクノクレーンがいるっていうんで、その到着を待ってたんだ。 それが、今さっき着いたところだからね。」

テクノクレーンは、高度なカメラクレーンで、通常は、下見の段階や準備の段階で、今日は、こういう特殊な機材がいるということで、あらかじめ用意しておくものです。

ちなみに、100億円程の大きな映画の場合は、その日、使おうと使うまいと常時用意しています。 というのは、プロデューサは、次の映画の予算を組む時、同じ規模の映画では、これだけのお金がかかったということをスタジオにしめさなければならないからです。

結局、その日は、学校での撮影は、行われませんでした。

別の日に、似たようなことが、ありました。
今度は、猫です。
主人公のアパートでの撮影時のことです。 リハーサルを終え、照明もあて終わり、さあ、いざカメラをまわそうという時、監督さんは、突然、立ち上がり、
「猫はどこ? このアパートには、猫がいるわ。 猫を呼んで。」
猫の到着まで、二時間程待ち、さあいざ、、、

こんな調子で、なんとか撮影をおえましたが、よくあれで監督賞にノミネートされたなと今でも思います。

同じ監督さんと同じカメラマンさんで、今年また、マーティン・ルーサーキングに関する映画撮影の予定もありますが、どうなることやら、、、

次回は、この映画撮影の時に、出会った女性とのデートについて話つもりです。