keyhole

ぽっかり空いた穴

埋めようとして

音を模索するけど

引き抜いたレコードも

パズルピースのようには

巧くはまらない


カタチもないその穴は

虚しくも独り身

添えたがるその音を

誰が知ってるんだろう

あたしの中にはきっと

無いんじゃないかな

Crowd

周りだけが

ただ騒然としてて

あの子は

不釣合いなバランスを

冷めた眼で見てた


あたしは望んでないのに

既に手遅れの影

呆れたように

野良ネコが低く鳴いてる

ココアパウダーに塗れて

茶色の世界は

穏やかそうだよ


裏就く言葉が

トグロをまくまでは

ピースマークも

華やいでいられるんだ

時計台

疲れ果てたように

世界が

動くのを止めた

時計はブラックホールへ

旅に出たんだろうか

昨日の夜は

星が楽しそうだったから


バンドマンの夢

眺め終わった時

あたしは

誤魔化すように

リーバイに針を落とした

軽やかに揺れる

リズムに任せて

聴覚を

油断させるために

道

もう

どうでもいいよ

全てが面倒だから

何なのか解らずに

空回りはいつものこと

あんたは良くても

あたしは良くない

気付かないの?

人の尺度は

世界の軸じゃない


もう

放っておいてよ

考えたくもないから

裏も読めないくせに

はしゃいだのは軽率

あんたは解っても

あたしは解らない

気付いてよ

一方通行は

虚しいだけだって

ChocolateMousse

食い散らかして

何も残らない

チョコレートが

ゴミ箱で眠ってる

腐りきったラズベリー

ムースにするには

足りないかな

スプレーで固めれば

見せかけの冷凍

目が覚める頃に

色さえも変わる


中途半端じゃ

余計欲しくなる

あんたはこれ以上

見てちゃいけないよ

河

思わず決壊した

あたしの涙腺は

とどまることを知らずに

溢れつづけてる


隠してたはずの感情が

眼の色に現れて

言うべきじゃない本音を

吐き出してたんだ


日常がぷつんと

音を立てて切れる

いつか来るその日を

どう臨めばいい?


新しい世界と

また結び直す

その覚悟はまだ

できてないのに




パーティーが終わる頃

あたしは

向こう側にむかう

惑星
さり気なく置かれた

紅い帽子は

空気を

存在に変えた


それは

今でも変わらないこと

チュッパチャップス

なびかれる草木

アンテナが揺れてる

キャンディーはべとついて

甘ったるく

だらり


噛むほどにしぼむ

青林檎のガム

膨らませやしないけど

弾ければ

ぐらり


雲はちぎれて

彗星の尾を引く

流れるわけでもなく

見上げれば

ぎらり

bonnie pink

明確な中で

漠然としてる

それは

まるで迷路の難易度に似た

抜け出せない思考回路


突発的な思惑が

邪魔をするのか

誘発するのか

あたしには

その見境もつかないから


バスルームから沸き立つ

無数の虹に

翻弄されては

消えてゆき

そのうち自我まで

呑まれていくんだろう

オーロラ

気だるそうなくわえ煙草

髪をかきあげ

つっ立ってるだけ
ギターも持たずに

鼻歌で済ます


あたしは

望める立場じゃないのに


からかってみせては笑う

口数少なく

つっ立ってるだけ

その眼の向こうに

踊らされてる


あんたが

視界から消えそうにない