職場のK君57歳が「ダーさん、退職前に二人で飲みに行きましょう」と言ってくれ、昨夜がその日でした。上野で飲む。彼は6時過ぎまで仕事、私は5時には会社を出た。(出社は私の方が1時間早い)。
早めに御徒町駅で降りてアメ横を散策。久しぶりのアメ横です。
ゴルフショップもあるけど、それほど安い気がしない。
カバンも洋服も靴も興味がない。魚やマツタケも売ってるけど興味なし。
こういう飲み屋には興味あり。
店の外で飲むのもいいけど、暑いよね、この季節は。
こういう「テラス席」は欧米ではお洒落な感じがするけど、アメ横ではディープな感じがする。お洒落とは違う。だけど、若者が多い。女性も多い。
安いから若者が多いのでしょう。
もう少し涼しければ、私もこういうのは嫌いじゃない。
回転寿司もたくさんある。
御徒町から上野まで一駅歩いても、まだ時間に余裕がある。しかも、暑い。
仕方がないので、スタバで時間を潰した。
そして、6時半からアトレの中のこの店に。
ドイツビールのお店、SCHMATZへ。
まずは、ヴァイツェンビール(白ビール)で乾杯。500ml。
まったりとして美味しい。
K君は鳥取出身。国立大学を出た理科系。大手電機会社で長く中国に駐在していたけれど、そのプロジェクトが上手く行かなくなって帰国し、10年くらい前にうちの会社に転職してきた。英語も中国語もある程度できる。
娘二人を持つ温厚な性格。見た目も少しムーミンに似ている。いつも穏やか。悪く言えば、戦うタイプではない。融和を目指す。しかし、世の中、そんなには甘くない。
「あーあ、動物園の動物たちはいいなぁ。働きもしないで、毎日エサをもらえて。僕もできれば、動物園の動物になりたい」なんて、過去には言っていた。
実際、彼の担当製品は非常に厳しい状況で、今もさらに厳しくなっている。今や、まな板の鯉状態になっている。
だけど、ユーモアのセンスもあるし、知識も豊富。
「できれば、早く退職して、中国にでも留学に行きたいです」
と。もっと中国語を学びたいらしい。長く中国にいたので、中国ファンになっているみたい。共産中国はともかく、確かに中国の歴史は長く、深く、魅力があるのだろう。
今は国内営業と管理業務をしているので、外に出たいようだ。
ストレスが溜まっている感じだ。
そういう彼とは文学とか、欧米や中国の文化的な話ができていい。
「政治家には芸術のわかる人は少ないのでは。損得で生きているので」
と私が言うと、彼が
「でも、ヒトラーなんかどうでしょう。彼は芸術家を目指していました。パリを愛していた。だけど、政治家ですよね」
「彼の場合は、コンプレックスが異常な権力欲になったんじゃないかな」
と私。
たわいのない、飲み屋の会話ですけど、楽しかった。
ピルスナーも飲んだけど、味はいまいちだった。
なんだか、苦みが雑味に感じた。
この牛肉はとても美味しかったけど、かなりのボリュームがあった。
気が付いたらもう9時近かった。
彼がほとんどを払おうとしたので、ダメダメと言って、割り勘にしました。
(二人で13000円くらい)
「是非、また飲みましょうよ」と彼。
有難いことです。
私はもう5回くらいしか会社には行かない。
なんだか、今がどんどんと過去になっていく。
*
いづくへか
帰る日近き
ここちして
この世のものの
なつかしきころ
与謝野晶子