新聞を読んでいたら「長生きリスク」という言葉を見つけた。そんな「リスク」は聞いたことがなかったけど、実感として今、理解できる。長生きすることはいいことだけど、お金がかかるのだ。退職したら収入がなくなる。貯蓄と年金と配当金とかで生きていかねばならない。ファイナンシャル・プランナーがあちこちで有難い記事を書いているように、人生におけるお金の計算をしなくてはならない。そこで重要になるのが、自分は一体何歳まで生きるかという問題だ。これは誰にもわからない。平均寿命以上生きるのか、はたまた90歳以上まで生きるのか、もしくは100歳以上生きるのか。長生きすればするほどお金がかかる。

 

 

 

 

日経新聞の一面に「老後資産の減少 85歳でも一割台」という記事があった。老後に備えて貯めた金融資産が80歳を過ぎても1-2割程度しか減っていない現実が内閣府の分析で判明したらしい。金融資産は60-64歳がピークになるケースが多く、しかし、その後減少するものの、その減少は少ないらしい。なぜなら、皆が「長生きリスク」を意識しているからだ。老人たちは倹しい生活をしている。金融資産の多くは高齢者がもっており、この層が節約に動いているので景気はなかなかよくならない、ということだ。

 

日本人がアリかキリギリスかと問われれば、「アリです」と答えるだろう。黙々と働き、せっせとエサを巣に運ぶ。女王アリもいるかもしれないけど、多くは働きアリ、兵隊アリだ。私は多くの働きアリの中で育ってきたやや怠け者のアリ。それでも、周りに引っ張られてそれなりに働き、貯蓄や投資をしてきた。そして、今年定年になるという今、「長生きリスク」に備えて、コスト意識は高い。ペイしないようなお金は払いたくない。コスパは重要だ。

 

人生におけるコストって、大きなものは何だろう?

・食費(日に3回だから、大きい。だけど努力で調整可能だ)

・住居費(これも大きい。場所、広さ、利便性などで全然違う。)

・衣類(近年、これは安くなった)

・水光熱費(最近はこれらも高い。可能な節約をするしかない)

・通信費(スマホ代も含めこれも工夫が必要だ)

・交際費(人生にスパイスを与えるので重要だけど、見栄を張ると大変)

・教育費(なるべく公立が安いけど、安ければいいというものではない)

・税金、年金、健康保険料(実はこれらが一番大きいかもしれないけど、サラリーマンにとって調整は難しい。やっている人はやっているのだろうけど)

 

さて、これら以外のコストとして、何があるのか?

以前書いた通り、「愛人と別荘」は維持費もかかるし、処分が面倒だ。

それと同様なのが、ペットかもしれない。ペットは可愛くて心を癒してくれる。しかし、維持費はかかるし、手間もかかる。そして最期には悲しみが待っている。

車も便利だけど、お金がかかる。車代は数百万円かかるし、維持費も年間30-50万円かかる。そして、交通事故というリスクもある。

病院代というのもある。これを減らすには健康に留意しないといけない。そのためには、食事の栄養バランス、適度の運動、睡眠が重要だ。ストレス解消も重要だ。

 

さらにはお墓だ。お墓もピンキリだけど、最近は墓じまいが進んでいるらしい。「あなたのお墓は建てないわよ。だって、あなたは無神論者でしょう」と妻。まあ、確かにそう、墓は要らない。でも、他人から「要らないでしょう?」と先に言われると気持ちは微妙だ。

 

そして、子供。子供はお金がかかる。成人まで育てるのに1人2000万円などと言われている。2人だと4000万円だ。子供がもたらす幸せは大きいけれど、コストは高いし、心配の種もいっぱい作ってくる。かつての農業中心の社会では子だくさんは労働力になったけど、都市化された現代ではコストとして捉えた方が適格だ。

 

私は40代半ばでコストセーヴィング生活(質素な生活)に舵を切った。車を売却し、タバコもやめて、2軒目以降の店に行くのも減らした。喫茶店にも入らなくなった。スーツや洋服購入も減らし、雑誌も本も購入を減らした。会社にはおにぎりとバナナを持って行き、昼食代を浮かした。

 

それでも、ゴルフとか飲食交際費とかでお金は使う。だけど、限定的だ。ひたすらお金を貯め続ける人生に意味はない。メリハリを付けたい。運動をしているおかげか、医者に行くこともほとんどない。歯もしっかり磨いて、まだ27本くらい残っている。歯がしっかり残っていないと食事も美味しくなくなる。喫煙は歯周病を誘発するらしい。

 

「リスク」というのは、いいこともあるけど、悪いこともある、ということ。両面性がある。不透明だということ。未来は常に不透明だ。

 

私はアリとキリギリスの中間あたりで楽しく80代を迎えられるような生活を目指したい。

 

 

先週暴落した日本の株価も今日は急反発しています。私としては日経平均4万円台に回復したら、とてもハッピー。現状レベルでも問題なし。ただ経済の将来はいつも不透明だ。

 

しかし、この異常に暑い酷暑の中にいると、地球温暖化は不透明ではなく、間違いないことのように思える。温暖化なんてものではなく、地球が沸騰しつつある。地球の将来も不透明だ。

 

 

 

 

不透明な霧の濃い世界を歩いて行くには、座頭市のように杖を突きつつ、一歩一歩進んでいくしかないと思う。ユートピアは無理でも、未来がディストピアにならないように祈りたい。