地上波TVで観ました。

題名:「人間の証明」1977年日本映画

原作:森村誠一

製作:角川春樹

監督:佐藤 純彌

出演:松田優作、岡田茉莉子、ジョージ・ケネディ、ハナ肇、ジョー山中、岩城滉一、竹下景子、坂口良子、峰岸徹、大滝秀治、佐藤蛾次郎、西川峰子、鈴木ヒロミツ、露木茂、今野雄二、E.H.エリック、室田日出男、小林稔侍、長門裕之、森村誠一、鶴田浩二、三船敏郎、深作欣二、西川峰子

 

面白かった。もう、47年も前の映画です。有名人がたくさん出演していますが、誰がまだ生きていて、誰がもう亡くなってしまったかわかりますか?

 

当時、私は高校生だった。

「お母さん、僕のあの帽子、どうしたでしょうね」

♪ママー、ドゥユー・リメンバー?

というキャッチフレースと歌が今でも頭に残っている。だけど、物語の内容は全然知らなかった。

 

<ネタバレあり>

 

物語は結構複雑で難しい。推理小説の映画化である。日本でファッション・ショーを繰り広げる女性(岡田茉莉子)のショーの風景が続く。一方で、ニューヨークのハーレムで黒人男性(ジョー山中)がお洒落をして、街を出て行き、日本へ向かう。

岡田茉莉子の夫は三船敏郎で叩き上げの実業家で政治家。二人の息子は岩城滉一でイケメンで裕福で遊びまくっている。岩城滉一が深夜、彼女と運転中、ホステスを轢いてしまい、海に捨てる。岩城は母に事情を話し、母は彼をニューヨークへと逃がす。

日本に来たジョー山中はなぜか、岡田茉莉子のファッションショーに向かい、開催されているホテルのエレベーターで死体として発見される。

 

 

 

二つの殺人事件を担当した刑事が、松田優作とハナ肇。聞き込みを開始し、松田はニューヨークにも飛ぶ。

 

松田優作は終戦直後、進駐軍によって父親が嬲り殺される。父は、女性(岡田茉莉子)を助けようとして、殺された。ニューヨークに行った松田は、現地の警部(ジョージ・ケネディ)の手の入れ墨を見て、あのとき父を殺した男だと悟る。

 

ジョー山中は誰によって殺されたのか?

なぜ?

 

常に怒っているような松田優作が懐かしい。

 

 

この映画をもしも、高校生のときに観たとしても、私にはよく理解できなかったと思う。今では「差別」などと言われるような表現が多々出てくる。かなりの問題作と言える。

 

この作品は、森村誠一が、「ぼくの帽子」という西條八十の詩からインスピレーションを受けて書かれた。

 

ぼくの帽子

 

母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?

ええ、夏、碓氷(うすい)から霧積(きりづみ)へゆくみちで、

谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。

 

母さん、あれは好きな帽子でしたよ、

僕はあのときずいぶんくやしかった、

だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。

 

母さん、あのとき、向こうから若い薬売りが来ましたっけね、

紺の脚絆(きゃはん)に手甲(てこう)をした。

そして拾はうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね。

けれど、とうとう駄目だった、

なにしろ深い谷で、それに草が

背たけぐらい伸びていたんですもの。

 

母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう?

そのとき傍らに咲いていた車百合の花は

もうとうに枯れちゃったでせうね、そして、

秋には、灰色の霧があの丘をこめ、

あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかも知れませんよ。

 

母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、

あの谷間に、静かに雪がつもっているでせう、

昔、つやつや光った、あの伊太利麦(イタリーむぎ)の帽子と、

その裏に僕が書いた

Y.S という頭文字を

埋めるように、静かに、寂しく。

 

 

母性に響く映画かもしれない。

 

主題歌はいい歌だけど、カラオケで歌うには少し難しい。