今日は在宅勤務でした。さっさと仕事を終えて、本を読んだり、録画してあるTV番組を観たり。ときどき妻がすごい番組を録画していたりしてびっくりします。

 

今日観たのは「ミッドウェイー海戦 3418人の命を悼む」です。澤地久枝が40年前に自身の足を使って調べて書いた『蒼海よ眠れ』『記録・ミッドウェー海戦』をもとに製作した番組です。1930年生まれの彼女は現在92歳です。

 

 

 

彼女はノンフィクション作家です。

 

彼女の父親は小学校を卒業後大工の見習になり、澤地が4歳のとき家族で満州に渡り満鉄の社宅で暮らす。終戦後1946年(16歳のとき)に帰国し、山口に渡り、1947年に焼け野原の東京に転居する。19歳で中央公論社に入社し、働きながら夜間高校を出て、さらには早稲田の第二文学部を卒業。結婚したが、某作家と不倫の末に離婚し、その作家とも破局し、五味川純平の資料助手として働く。

 

 

 

1942年のミッドウェー海戦は、日本が敗戦に向かうきっかけとなった戦争です。彼女は、なぜ、日本が戦争に突入したか、その史実を綿密な調査で描いて行った。

 

ミッドウェー海戦で具体的に何人の日本人が死んだのか、アメリカ人が死んだのかも、ちゃんとしたデータがなかった。それを彼女は徹底的に調べて、遺族とも連絡を取って、亡くなった人たちの手記や思い出を文章に描き、悼んだ。

 

 

 

 

ミッドウェーで戦死した一番若い日本人は15歳だった。

 

 

 

 

米国にもわたり、新聞に英文で広告を出し、「私は今、ミッドウェー海戦について書いています。遺族の方でお話しくださる人は是非連絡してください」と。それに対して、実に多くの人たちが澤地にコンタクトしてきた。

 

前線で戦った人たちの多くは貧しい境遇だった。お金のために志願して、上官の命令には逆らえなかった。

 

 

 

戦前の日本は明らかに命が軽かった。

そういう戦前の日本を批判するとともに、彼女は、戦後も「九条の会」の呼びかけ人の一人となった。「戦争を放棄する」と謳った九条を改憲しようとすることに反対する会だ。発起人は、他に、井上ひさし、大江健三郎、小田実、加藤周一、鶴見俊輔、梅原猛などがいるが澤地以外は故人となってしまった。

 

「アベ政治を許さない」というキャッチフレーズの考案者も澤地だ。

 

 

 

ノンフィクション作家であり、ジャーナリストだ。素晴らしい。

小学校しか卒業していない両親のもとに生まれながら、しかも敗戦のどさくさを満州から逃げてきて、働きながら夜間高校・大学を卒業したというのは、きっとすごく優秀だったのだと思う。そして、どんな夫だったのか知らないけれど、彼女には飽き足らなかったのだろう。作家・有馬頼義(貴族)との恋や破局もなんとなく理解できる。そして、五味川純平のもとで資料助手として働いたことが、その後の彼女のノンフィクション作家の修行になったのだと思う。能力だけでなく、執念のようなものを感じる。

 

「重要なのは命の重さです」

 

サクランボなんて食ってる場合ではない。

 

自民党は軍事予算を増やして、どうしようというのか?

 

NHKも、ときどきいい番組を放映するけど、自民党から「反政府的である」などと会長が解任されなければいいのだけど。