地上波TVで観ました。

題名:『奴らを高く吊るせ!』(原題: Hang 'Em High)1968年米国映画

監督:テッド・ポスト

出演:クリント・イーストウッド

 

面白かった。クリントの映画で面白くなかった映画はない。彼の映画に共通に流れているのは、理不尽な力に対する怒りと反抗、不屈の根性だ。主人公はヒーローになるが、よくあるアメリカ映画のヒーローのような観客をバカっぽく喜ばせることはない。多くは何かを深く考えさせる。最近の映画のようにノンストップ・アクションで飽きさせないのではなく、一場面、一場面で、観客は手に汗握り、心臓をドキドキさせる。甘くないので女性向けではないかもしれない。

 

オクラホマが州になる直前くらいの西部劇だ。きっと19世紀の終わりごろ。主人公のジェド(クリント・イーストウッド)は、もと保安官でカウボーイ。牛の輸送中に牛泥棒兼牧場主の殺人犯と勘違いされ、突如9人に襲われ、縛り首になる。危うく死ぬ寸前で連邦保安官に助けられ、留置場に連れていかれる。そして、裁判前に無罪が判明し、放免される。さらには、ジェドがもと保安官であったことも判明したため、判事が彼に街の保安官になることを依頼し、保安官になる。

 

 

ジェドは自分を首吊りにした9人を見つけて殺そうとするが、判事は「生きて連れてこい」と言う。裁判を行って、有罪ならば絞首刑にする、と。怒りながらも判事の言い分に納得したジェドはなるべく生きたまま容疑者を連れて帰ろうとする。(一人は先方が先に撃ってきたので射殺した)

 

しかし、別の事件(牛泥棒)の容疑者3人を逮捕し、うち1人は殺人犯でもあるが、2人はまた未成年で牛泥棒を手伝っただけだった。未成年の少年は絞首刑にする必要はないのではないかと主張したが、判事に「余計なことを言うな」と言われ、皆、公衆の前で絞首刑になった。

 

 

 

 

極悪人、無法者は処刑すべきだ。公開処刑、首を吊るせ!

しかし、冤罪だったらどうする?

ジェドは自身が冤罪で殺されかけた。

しかし、裁判をやったからと言って、その裁判が公正であるとは限らない。

少年でも処刑すべきなのか。

 

街には雑貨屋をやっている美人の女性がいた。

 

 

彼女は他の州で結婚していたが夫と二人で出かけた先で、無法者2人に夫は殺され、彼女は二人に犯された。彼女はいつも留置場にやってきて逮捕されてきた男たちの顔を確認している。あの時の男二人を絶対に許せないと。

 

しかし、ジェドは聞く。

「見つけて、どうするんだい?」

辛い過去は忘れて、これからを生きた方がいいのでは、と。

 

 

そうこうするうちに、ジェドに1人仲間が殺されたということで、残りの連中がジェドを処分しようと襲い掛かってくる。傷ついたジェドをこの女性が看護してくれて、二人はそれなりに親しい仲になっていく。

 

 

 

そして、ジェドの復讐が始まる。

(判事は、あくまでも法を守れ、と言うのだが、ジェドは「俺のやり方でやる」と)

 

 

 

次々と相手を殺し、最後の一人の恐怖の表情が素晴らしい。

 

 

迫真の演技だ。

 

 

 

ちなみにヒロイン役のレイチェル・スティーブンスはまだ生きているのかなと思って調べてみたら、彼女は1934年生まれで、1970年に35歳で自殺していた。2回結婚している。自殺の原因などはわからない。服毒死だ。

 

戦争も殺人も自殺も死刑も、神が人間に許している行為とは思えない。

しかし、世の中には理不尽な出来事は多い。

無法者、残虐な人間も多い。冷酷な人間も多い。

 

あなたは死刑に賛成ですか?

 

クリントが38歳のときの作品です。

オクラホマの歴史も調べましたが、もっと知る必要があると思いました。米国でもっともインディアン居留地の多い州のようです。